顧客視点で考える「商品コンセプトの作り方」
企業がブランディングを行う目的は、顧客に選ばれ、商品が売れ続けるブランドになることです。値段や他社などに左右されず、「この商品がどうしても欲しい」と思って買ってもらえること。これが、ブランドの理想の形なのではないでしょうか。
そこでこの記事では、「どうしても欲しい」と思われる魅力的な商品を作るための「商品コンセプト作り」について解説していきます。商品コンセプト作りは、ブランドを正しく育んでいくための重要な過程の一つです。ブランドコンセプトの上に成り立つ商品コンセプトの作り方も紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください。
ブランディングとは
ブランディングとは、人々が自社に対して持つブランドイメージを、自社が目指している理想像に近づけるための活動のことをいいます。
具体的には、コンセプト作りやビジュアルデザイン、顧客体験の設計などがありますが、正確に「ここからここまでがブランディングの範囲」という明確な区切りはありません。企業によって、状況によっても変わるでしょう。
ブランドコンセプトは事業を進めていくうえでの基盤であるため、事業のどの過程にも密接に関わっているのです。
ブランドコンセプトと商品コンセプト
ブランドイメージは、顧客の体験によって作られていきます。ブランドとのタッチポイントにおいて顧客がどのような体験をして、そこで何を感じたか。その積み重ねによって、ブランドイメージが確立していくのです。
商品は、重要なタッチポイントの一つです。そのため、単に「売れる」という視点だけで開発するのではなく、ブランドコンセプトを反映させたものであり、ブランドの価値を発揮できるものであることが重要です。
ここからは、そんな商品を開発するためのコンセプト作りについて考えていきましょう。
商品コンセプトとは
商品コンセプトとは、商品を開発するうえでの方針を定義したものです。具体的には、どのような顧客ニーズがあるのか、それをどのような商品でどう解決するのかといったことを明文化します。
ここで重要なのは、商品コンセプトはブランドコンセプトという基盤のうえに成り立っているものであり、ブランドコンセプトを反映させる必要があるということです。
しかし、そういわれても何をどうしたら良いかわからない人も多いでしょう。そんなときは、顧客視点で考えてみることをおすすめします。
顧客視点での商品コンセプト作りとは
商品コンセプトを作るうえで大切なのは、顧客について理解することです。一つの例として、ゴルフクラブの商品コンセプトについて考えてみましょう。例えば、以下の2タイプのゴルファー向けの商品コンセプトを考えるとします。
- ● A…スコア90を切りたい上級ゴルファー
- ● B…初めてラウンドするビギナー
皆さんなら、ABのゴルファーに対して、どのような方向性で商品コンセプト考えますか。
Aなら、ゴルファー本人が、スコア90を切るための自分の課題を認識しているでしょう。要するに、「自分はここが良くないから、それを改善すれば90を切れる」ということを理解しているということです。それなら、新商品では飛距離や弾道といった各自の課題に合わせた数種類をラインナップし、1本1本について「なぜこの商品が課題を解決するのか」を科学的に解説するのも良いかもしれません。
では、Bならどうでしょうか。Bのゴルファーはクラブの選び方も分かっていないため、専門的なことをいわれるよりも、むしろ「どのようなゴルファーにも合うオールラウンドタイプ」といわれる方が手に取りやすいかもしれません。たとえ1本1本が優れた商品であっても、それをどう選んでどう組み合わせたら良いかもわからないため、「これさえあればゴルフに行ける」というセット商品の方が、安心できるでしょう。
商品コンセプトと聞くと、商品の特徴や、他社製品と比較して「尖った」ポイントを打ち出すことが大切だと思われがちです。しかし本当に重要なのは、顧客にとって魅力的かどうかを考えること、つまり、顧客視点で作ることなのです。
顧客理解のために重要なこととは
顧客視点で作るにはどうすれば良いかも紹介しておきましょう。
顧客視点で商品コンセプトを作るためには、自社の顧客はどういう人で、その人のニーズが何なのかを詳しく正しく把握する必要があります。
そしてそのためにぜひ行いたいのが、インナーブランディングです。
インナーブランディングとは、簡単にいうと、組織の内部に対して行うブランディングです。社員や関係者にブランドコンセプトや戦略、ブランドの価値観を深く理解してもらい、皆が同じ方向を向けるように伝えていくのです。
インナーブランディングについては以下の記事で詳しく解説しているので、あわせてぜひお読みください。
まとめ
この記事では、商品コンセプトを作るにあたって重要な「顧客視点」について解説しました。
- ● ブランディングとは
- ● ブランドコンセプトと商品コンセプト
ここで改めて、ブランドコンセプトと商品コンセプトの関係を整理しておきましょう。 ブランドコンセプトは、事業の全ての過程における基盤になるものです。商品開発でも、プロモーションでも、販売の現場でも、全ての活動がブランドコンセプトの上に成り立っています。
商品には売上目標などが課せられるため、どうしても目先の売上を重視したくなるかもしれません。しかし、長い目で見て強いブランドを作るためには、ブランドが大切にしている顧客のために作ることが最重要なのです。
商品コンセプトを作る際に迷いが生じたら、ブランドコンセプトに立ち戻り、顧客視点でもう一度考えてみると良いでしょう。
グラビティーワン株式会社では、様々な組織のブランディングをお手伝いしています。ブランド戦略の策定から、理念やブランドコンセプト作り、コアコンピタンス、インナーブランディング、ロゴデザイン、パッケージデザインまで、15年にわたって一橋ICSで講義を務めた亀谷が相談を受け付けています。まずはじっくりお話を伺いますので、ぜひお気軽にお問合せください。