企業の成長を支える理念を作るために|暗黙知を引き出し生かす方法
企業理念を作ることは、会社の価値観や目指す方向を明確にし、組織全体を一つにまとめるための重要なステップです。
この記事では、本質的な企業理念づくりの方法として、「暗黙知」を引き出し、企業の本質を形にする方法を解説します。経営者や従業員が持つ言葉にされていない知識や経験を活かして、組織全体の軸となる理念を作るヒントをお届けします。
企業理念とは
企業理念とは、その企業が何のために存在するのか、社会に対してどのような役割を担っているのかを表したものです。会社の根本的な価値観を示し、組織一丸となって同じゴールを目指すために存在します。
企業理念については、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
会社の成長を支える企業理念とは
良い企業理念には、組織を動かす力があります。経営者の想いと会社全体の価値観をしっかりと反映した企業理念は、社員一人ひとりの行動に影響を与え、組織全体の一体感を生み出します。また、社員が判断に迷ったときの基準となり、会社のブランド価値を高める土台にもなります。
グラビティーワンでは、そうした企業理念を作るために、経営者や従業員が持つ「暗黙知」を引き出すことを大切にしています。
暗黙知とは、日々の仕事や経験を通じて蓄積された、言葉にしにくい知識や感覚のことで、企業の本質を捉える上で欠かせない要素です。特に、経営者の深層心理にある想いは、企業理念を形作る核となります。
経営者の暗黙知とは
企業の理念を形作る鍵は、経営者自身の中にあることが多いです。創業時に抱いた想い、事業の成長過程での経験、数々の意思決定を通じて得た価値観や直感は、言葉にされていない暗黙知として経営者の中に蓄積されています。
しかし、この暗黙知が言語化されないままでは、企業理念に反映されることはありません。そして、理念が形骸化し、社員の行動や意思決定に結びつかない原因にもなり得ます。 経営者の暗黙知を掘り起こし、理念として言葉にすることは、会社の方向性を明確にし、社員や顧客に信頼される企業の基盤を作るために必要不可欠なのです。
従業員の暗黙知とは
グラビティーワンでは、経営者の暗黙知だけでなく、従業員の暗黙知を引き出すことも大切にしています。なぜなら、従業員の暗黙知には、日々の業務の中で培われた、説明しにくいけれど確かに存在する知識や経験が含まれているからです。それを理解することで、社会における自社の位置付けがより明確になります。
また、現場の視点が理念策定に取り入れられることで、理念は社員にとって「自分たちのもの」として感じられやすくなり、実行に移される可能性が高まります。また、経営者の考えと従業員の知見が一体となることで、理念は上から押し付けられたものではなく、現場と一緒に作り上げた実践的な指針となるでしょう。
暗黙知に関するQ&A
ここからは、わかるようでわかりにくい暗黙知について、Q&A形式で紹介していきます。
Q1. 暗黙知はどのように見つけることができますか。
暗黙知は、従業員や経営者が無意識のうちに持っている知識や感覚で、表面化していないものです。そのため、暗黙知を引き出すには工夫が必要です。たとえば、以下のような方法が効果的です。
- ● 対話を通じた掘り起こし:具体的なエピソードや経験について話してもらうことで、言葉にされていない価値観を浮き彫りにします。
- ● ワークショップの実施:従業員や経営陣が集まり、共通の目標や経験について議論することで、潜在的な知識を引き出します。
- ● 無理に言葉にさせない(強要しない):重要なのは、相手の価値観や考え、経験を理解することであり、言葉として言わせることではありません。言葉にすることを共有するのではなく、話をじっくり聴くことを心がけます。
- ● 全員の意見を尊重する:一人ひとりの考えは、すべてが経験と知識に基づくものです。経営者だけでなく、従業員の声も含めて暗黙知を共有することで、理念がより深いものになります。正解か不正解かを議論するのではなく、それぞれの話を聞き、受け止めるようにしましょう。
- ● 外部の視点を取り入れる:ブランディングの専門家や第三者のサポートを得ることで、客観的な暗黙知の分析が可能になります。
- ● 企業理念とは
- ● 会社の成長を支える企業理念とは
- ● 暗黙知に関するQ&A
Q2. 暗黙知はどのように企業理念に反映されるのですか。
暗黙知は、企業理念策定において言語化しておくべきことではありますが、必ずしも反映させなければならないものではありません。そのようなすべての情報を明らかにしたうえで策定することが重要なのであり、言葉として反映させることが目的なのではないからです。 すべての知識や経験は、企業にとって財産になります。暗黙知を引き出したら、それを共有し、さまざまな情報と比較することで、会社の価値観や方向性が見えてくるでしょう。
Q3. 暗黙知を上手に引き出すにはどうすれば良いですか。
暗黙知を引き出すのは、簡単なことではありません。また、無理に引き出そうとして強引に質問をしても、良い答えを引き出すのは難しいでしょう。
特に、以下の点には注意を払って対話を進めることをおすすめします。
まとめ
この記事では、企業理念策定で大切な暗黙知について紹介しました。
暗黙知を引き出すことで、経営者の判断基準がより明確になり、それが企業理念に反映されます。暗黙知の引き出し方や、企業理念の作り方に迷ったら、グラビティーワンにご相談ください。
グラビティーワン株式会社では、ブランド戦略、企業理念策定のご相談を受け付けています。インタビューやワークショップを通じて貴社の価値や独自性を引き出し、企業の根本を反映させた企業理念を作成していきます。ブランディング、インナーブランディング、ブランドコンセプト作り、デザインなど、15年にわたって一橋ICSで講義を務めた亀谷がお手伝いします。まずはお気軽にお問合せください。