企業理念のアップデートは必要?具体的な事例と必要なタイミングを紹介

企業理念のアップデートは必要?具体的な事例と必要なタイミングを紹介

企業理念が、今の時代に合っていないと感じることはありませんか。

「顧客からの信頼が低下している」「社会の変化に対応できていない」と感じる場合、企業理念を見直すタイミングが来ているかもしれません。

この記事では、企業理念をアップデートとはどういうことなのか、なぜ見直すべきなのか、そしてその際に注目すべき重要なポイントについて解説します。顧客との信頼関係を守りながら、時代に合わせて事業を発展させるために、ぜひ最後までご覧ください。

企業理念とは

企業理念とは、会社や組織の目的や存在意義、社会でのあり方を示すものです。会社が何のために存在しているのか、どのような目的で経営されている会社なのかを明確にしています。

企業理念は、社員にとっては、仕事の方向性や意思決定の基本となる存在です。そして社外に対しては、ブランドイメージを正しく作り上げるための指針として重要な役割を担っています。

企業理念のアップデートとは

企業理念のアップデートとは

企業理念は、たとえそれがどんなに良いものであっても、時代や市場ニーズの変化に取り残されてしまうこともあるでしょう。その場合は、企業理念のアップデート(再検討)が必要です。

企業理念のアップデートが必要な理由

現代のビジネス環境は、社内状況の変化や技術の進化、消費者の価値観の多様化などによって、かつてないほどのスピードで進化しています。

それにともなって、顧客から選ばれる企業になるためには、その時代の変化の波にのり、求められるものを提供できる会社であるべきです。だから、時には企業理念のアップデートが必要なのです。

企業理念のアップデートの例

企業理念のアップデートとはどういうことなのか、それを理解するために、アップデートの例を見てみましょう。

環境に配慮した企業理念アップデート例

日本の製造業の最盛期に作られた理念を、現在のビジネス環境に合わせてアップデートする例を紹介します。

旧:高品質な製品を世界中に届け、快適な暮らしを支える
新:環境に優しい製品を提供し、持続可能な未来を支える

旧理念では、製品の品質の高さや安定供給を掲げており、製品によって顧客や社会の課題を解決するという意図で作られています。しかし、今の製造業では環境への配慮や持続可能性が不可欠であり、どんなに良い製品を作っていたとしても、環境への配慮に欠けていれば顧客から選ばれる存在にはなりません。

このような時代の変化に合わせ、「高品質な製品」の前に「環境に優しい製品」、「快適な暮らし」の前に「持続可能な未来」を企業の考え方の中心に据えるという例です。

企業理念アップデート例

もう一つ、例を挙げて紹介します。

旧:技術力で世界をリードする
新:テクノロジーで社会を豊かにする

以前は、世界をリードする強い企業が求められていました。新しい技術を生み出し、それをどこよりも早く世の中に伝えることが企業の価値だった時代があります。

現代でも、新しい技術を生み出すことはもちろん重要です。しかし今は、それによって自分たちが頂点に立つことよりも、その技術を使って人や社会に貢献するということの方が根本的には大切にされています。これは、そのアップデートを反映させた例です。

企業理念のアップデートで会社の基盤はゆらがない?

企業理念は会社や組織の基盤なので、それを変えてしまうと会社の基盤がゆらぐのではないかと気になる方も多いかもしれません。

しかし、企業の根本的な考え方が今の時代に合っていないのであれば、変えることが必要です。 たとえば、これまで環境に悪い物質を大量廃棄しながら高品質な製品を製造していた企業があるとしましょう。その会社が今後も継続して事業を続けていくのであれば、優先順位を以下のように変えることは不可欠です。

旧優先順位:製品の品質>環境保護
新優先順位:環境保護>製品の品質

このような視点で見てみると、変わらないことの方がむしろリスクであることが分かるでしょう。

時代に合わせて理念のアップデートを行うことで、企業の価値観や基盤が進化し、持続可能な成長が可能になります。つまり、基盤を変えることは会社を揺るがすのではなく、むしろ強化する手段となるのです。

企業理念のアップデートで見直すべきポイント

企業理念をアップデートする目的は、単に環境保護に対応するだけではありません。現代の企業を取り巻く社会的な課題や変化に合わせて、自社がどのような役割を担っているのか、何をすべきなのかを検討する必要があるでしょう。

たとえば、以下のようなテーマも、ぜひ検討したい一つの重要なポイントです。

  • ● 持続可能性と環境保護
  • ● 多様化する社会への貢献
  • ● ウェルビーイングの追求
  • ● テクノロジーを活用した社会課題の解決
  • ● 次世代への責任

理念を変える際に重要なこと

ここまでは、時には企業理念のアップデートや根本的な考え方の修正が必要だということを紹介してきました。しかし一方で、どの企業にも、決して崩してはならない基本的な考え方や、顧客との約束も存在するはずです。具体的には、以下のようなものがあるでしょう。

  • ● 根幹となる価値観(例:お客様第一主義)
  • ● 品質の追求
  • ● 安全の確保
  • ● 倫理観
  • ● 顧客との約束

企業理念をアップデートする際には、世の中の変化に対応しながらも、このような基盤を崩さないようにすることが重要です。そのためには、企業理念をアップデートする前に、現状を正しく把握し、自社の価値はどのような点にあるのかを明らかにする必要があるでしょう。

企業理念を見直すべきサイン

あなたの会社や組織で以下のような状況が見られたら、企業理念を見直すタイミングが来ているのかもしれません。ここでは、企業理念の見直しが必要となる具体的なサインを紹介します。

経営層や従業員が理念を言語化できない

企業理念は、本来、関係者全員が深く理解し、判断や行動の基準とすべきものです。それができていない場合は、社員はもちろんのこと、経営層の考えとも合っていないことが考えられます。

このような状況であれば、経営層と従業員が納得して共感できるものに修正することも検討すると良いでしょう。

顧客からの信頼や支持が低下している

顧客が減った場合や、顧客からの信頼が低下している場合は、顧客の求めるものと企業の方向性が一致していない可能性が考えられます。その場合は、企業の根本的な考え方が顧客と合っているか、社会の変化にともなっているかどうかを見直してみましょう。

顧客からの信頼が低下しているときは、企業にとって方向性を見直し、顧客や社会との接点を再構築するタイミングです。ここで方向性をしっかり決めれば、失った信頼を回復し、より強固な関係を築くことができるでしょう。

新しい事業や市場への対応が難しいと感じる

事業が新しい市場に進出する際や、新事業を始める際に、これまでの自社の方向性と合わないと感じることもあるかもしれません。

このような場合に理念に合わないまま新事業を進めてしまうと、綻びが生じる可能性があります。そうならないためにも、事業を始める前に自社の価値や理念を改めて確認し、土台をしっかり固めておくことが、長期的な成功につながります。

まとめ

この記事では、企業理念のアップデートについて解説しました。

  • ● 企業理念とは
  • ● 企業理念のアップデートとは
  • ● 企業理念のアップデートで見直すべきポイント
  • ● 理念を変える際に重要なこと
  • ● 企業理念を見直すべきサイン

企業理念のアップデートは、会社を長期的に成長させていくために必要です。時代の変化に合わせて会社をより強くするために、ぜひ一度取り組んでみませんか。

グラビティーワン株式会社では、企業理念の策定やアップデートのご相談を受け付けています。インタビューやワークショップを通じて貴社の価値や独自性を引き出し、企業の根本を反映させた企業理念を作成していきます。ブランディング、インナーブランディング、ブランドコンセプト作り、デザインなど、15年にわたって一橋ICSで講義を務めた亀谷がお手伝いします。まずはお気軽にお問合せください。