ブランディング戦略とは?成功へ導く流れと基本の考え方

ブランディング戦略とは?成功へ導く流れと基本の考え方

もしかしたら、フレームワークを使った分析や競合との比較、SNS戦略などに注目する人も多いかもしれません。しかし、長く続くブランドを育てていくためには欠かせないポイントがあります。

この記事では、ブランディング戦略の基本的な考え方から、戦略を立てる際の流れ、そして実践で気をつけたいポイントまでを整理して解説します。

ブランディング戦略とは何をすること?

ブランディング戦略とは、ブランドをどのように育てていくかを定める全体構想です。

ブランディングは、ブランドをあるべき姿に導くための活動であり、ブランディング戦略はその軸がぶれることなく、すべての取り組みがブランドのあるべき姿に向かって進むよう導く役割を担っています。

ブランドコンセプトとして掲げている「ブランドのありたい姿」を、日々のコミュニケーションや体験の中で実現していくための方向を示すのが、ブランディング戦略です。

ブランディング戦略の流れ・成功に導く考え方

ブランディング戦略の流れ・成功に導く考え方

では、実際にブランディング戦略を立てるときには、どのような手順で進めるとよいのでしょうか。ここでは、その考え方を4つのステップで紹介します。

  1. 1. ブランドコンセプトを共有し、正しく理解する
  2. 2. ターゲットの感情と行動の変化を考える
  3. 3. ターゲットの感情を作り出す方法を考える
  4. 4. ブランドコンセプトを守り続け、ブランドを成長させる

1. ブランドコンセプトを共有し、正しく理解する

ブランディング戦略を立てるためには、まずブランドの軸となるコンセプトを全員が正しく理解し、同じ方向を向くのが最初のステップです。

「ブランドコンセプトくらい理解できている」と思われるかもしれませんが、実は、理解できているようでできていないことがよくあります。ブランドコンセプトは形のあるものではなく、正解が目に見えないため、皆が自分なりの解釈を加えて理解してしまっているからです。

ブランドコンセプトを共有するために、ブランドの目的からトーンやカラーなどの細部までをまとめて1冊の本にして、ブランドブックとして組織内に共有している企業もあります。

2. ターゲットの感情と行動の変化を考える

次に、ターゲットにどんな感情を持ち、どう行動してもらいたいのかを明確にします。

人は、感情が動くと行動するといわれています。特に今の若い層は、「役に立つ」「コストパフォーマンスが高い」といった合理性よりも、「かわいい」「面白い」といった感情で行動する傾向が強いです。

そのため、たとえば、ターゲットに「購入する」という行動をとってほしいのであれば、どのような感情を抱けば購入してもらえるのかを考えるのです。

ここは飛ばしてしまいがちですが、とても重要なステップです。

3. ターゲットの感情を作り出す方法を考える

ターゲットにどんな感情を持ってもらいたいかを定めたら、その感情をどのように生み出すかを考えます。 たとえば、「憧れ」や「共感」を生みたい場合は、SNSを活用するのも一つの方法です。一方で、「かわいい」や「楽しい」といった感情を持ってもらいたいなら、コンセプトを体感できる店舗を設ける方法もあるでしょう。

感情は、言葉やデザイン、体験といったさまざまな要素から生まれるため、どこでどのような感情を作り出すかを具体的に考えていくのがこのステップです。

4. ブランドコンセプトを守り続け、ブランドを成長させる

ブランディングで重要なのは、コンセプトを守り続けることです。これは、簡単なようでいて難しく、しかし欠かせないポイントです。

事業を進めていくなかで、現場の判断によって少しずつ変わってしまうことはよくあります。その原因は、目の前で起こっていることへの対応を優先するうちに、最初は浸透していたブランドコンセプトが忘れ去られてしまうことにあります。

ブランドコンセプトを守り続け、ブランドを大きく成長させるためには、それを管理し、方向を確認する担当者の存在が必要です。専任の担当者を置けるのがベストですが、難しければ外部の伴走支援を受けるという選択肢を検討するのもよいでしょう。

ブランディング戦略で気をつけたいポイント

ブランディング戦略で気をつけたいポイント

みなさんの中には、ブランディングが成功しなかった事例を見たことがある方も多いかもしれません。ブランディングがうまくいかない原因の一つに、戦略を立てる段階で、重要なポイントを見落としていることが考えられます。

ここでは、ブランディング戦略を立てる際に見落としやすいポイントと、ブランディングを成功させるために重要な考え方を解説します。

  • ● フレームワークに頼りすぎてしまう
  • ● ターゲットの感情を見落としてしまう

フレームワークに頼りすぎてしまう

ブランディング戦略を考える際に、分析法やフレームワークを活用することもあるでしょう。しかし、それらに頼りすぎて型にはめてしまうと、ブランドの良さが見えなくなってしまうことがあります。なぜなら、フレームワークは「考えるための補助」であり、現場には机上には見えないものもたくさんあるからです。

たとえば、現場の声の中には、ブランドの市場での立ち位置や価値、独自性を知るためのヒントが隠れていることもあるでしょう。毎日商品に触れ、お客様と接している現場にしか見えないことも多いはずです。

ブランドを理解するうえで、フレームワークは有効な手段です。ただし、それだけに頼るのではなく、そこに現場の声や視点を重ねることで、より現実に即したブランディング戦略を立てられるようになるでしょう。ブランディングでは、手法を選ぶ前に、まず考え方を定めることが重要なのです。

ターゲットの感情を見落としてしまう

一般的に、ブランディング戦略を立てる際に重視されるのは、ポジショニングの整理や競合との差別化、そして差別化ポイントの訴求です。それらももちろん重要な要素ですが、ターゲットの行動を促すうえで本当に大切なのは、感情を動かすことです。

どんなに丁寧に商品の特徴を伝えても、「自分らしい」「好きだ」といった感情が生まれなければ、ターゲットには響かず、購買行動にもつながりません。ブランドが長く支持される背景には、必ず“感情”があります。

ブランディング戦略を考えるときは、差別化や機能面の訴求だけにとどまらず、ターゲットの感情をどう動かすかを軸に据える必要があります。その感情を丁寧に拾い、戦略に活かすことが、ブランドを成長させるうえで欠かせないポイントでしょう。

まとめ

この記事では、ブランディング戦略とはどういうものなのか、成功させるためには何を重視したらよいのかを解説しました。

  • ● ブランディング戦略とは何をすること?
  • ● ブランディング戦略の流れ・成功に導く考え方
  • ● ブランディング戦略で気をつけたいポイント

ブランディング戦略は、型通りに立てるものではなく、ブランドの「ありたい姿」を実現するための道筋を描くことです。

ターゲットの感情を理解し、それに基づいた取り組みを続けることが、ブランドを着実に育てていくことにつながるでしょう。

グラビティーワン株式会社では、ブランド戦略についてのご相談を受け付けています。ブランディング、インナーブランディング、ブランドコンセプト作り、デザインなど、15年にわたって一橋ICSで講義を務めた亀谷がお手伝いしますので、まずはお気軽にお問合せください。