企業理念をブランドの発展にどう生かす?ローソンの事例で考察
企業理念を作った後、それを実際の活動に落とし込むのが難しいと感じたことはありませんか。
理念には、その企業の社会における存在意義や価値が込められています。それを組織全体で理解し、各自の具体的な行動につなげることができれば、ブランドの価値向上や企業の発展に寄与するでしょう。 この記事では、ローソンの企業理念を例に挙げ、その理念がどのように具体的な行動に反映され、ブランド価値向上や企業発展につながっているのかを読み解きます。
ローソンの企業理念
ローソングループの企業理念(グループ理念)は、「私たちは“みんなと暮らすマチ”を幸せにします。」という一文で表現されています。
この理念には、ローソンは単なる店舗にとどまらず、地域社会と深くつながり、人々の日常生活を支え、幸せな暮らしを共に作り上げるという思いが込められていると考えられます。
ローソンが目指す「“みんなと暮らすマチ”を幸せにする」とはどのようなことなのか。この理念を分解して、一つひとつ考察していきます。
ローソンの企業理念における「みんな」とは
「みんな」は、ローソンと関わる全ての人々を指すと考えられます。具体的には次のような対象が当てはまります。
- ● ローソンを利用するすべてのお客様
- ● 地域住民
- ● ローソンで働いている、または、ローソンと関わっているすべての人
これらの人々が「みんな」として一体となり、支え合うことで、ローソンの理念が実現されています。
ローソンの企業理念における「みんなと暮らす」とは
「みんなと暮らす」というフレーズは、ローソンが単に地域に店舗を構えるだけではなく、地域社会の中に溶け込み、人々の日常生活に寄り添う存在であることを意味していると考えられます。
一般的に、コンビニエンスストアは、地域の人々に商品やサービスを提供する場です。しかし、ローソンは「みんなと暮らす」という言葉を用いることで、単なる販売業務を超えた地域社会とのつながりへの強い思いを感じさせます。
「“みんなと暮らすマチ”を幸せにする」とは
「私たちは“みんなと暮らすマチ”を幸せにします。」という理念には、「人を幸せにする」ではなく「マチを幸せにする」と表現しているという特徴があります。このフレーズには、個々の幸福にとどまらず、地域全体で幸せを共有するという考えが込められていると考えられます。
「マチ」は、単なる地理的な空間ではなく、そこに暮らす人々の生活やつながり、さらに地域固有の自然環境や文化を含む広がりを持つ概念です。ローソンはその「マチ」の一部を担う存在として生活の便利さを提供するだけでなく、地域全体の課題を共有し、解決に向けた取り組みを通じて、地域全体の安心感を育んでいます。
ローソンは、企業理念をどう具体化しているか
ローソンは、「私たちは“みんなと暮らすマチ”を幸せにします。」という理念を、日々の活動を通じて具体化しています。ここでは、その活動の一部を紹介します。
店舗での毎日の取り組み
ローソンの店舗では、以下の基本3点を常に心がけています。
- ● お店や周辺(マチ)をきれいにする
- ● お客様に心のこもった対応をする
- ● お客様がほしいと思う商品をそろえる
これらをただスローガンとして掲げるのでなく、評価制度などを用意して実践しています。
地産地消の取り組み
ローソンでは、マチの活性化のために、地元の食材を活用した商品を開発しています。これは、生産者を支援することでマチを経済的に支え、幸せにする取り組みとして喜ばれています。
環境保護活動への取り組み
ローソンは、省エネ設備の導入や太陽光発電などにより、環境保護の取り組みを積極的に進めています。また、環境にやさしい容器を使うことで、マチのみならず地球を幸せにする活動を推進しています。
災害時の支援活動(災害時帰宅支援ステーション)
ローソンでは、災害時に店舗を帰宅困難者への支援や物資供給の拠点とし、マチのライフラインとして活用できるよう整備しています。実際に、各都道府県と協定が締結されており、インシデントマップなども準備されています。 ローソンでは、このようなさまざまな取り組みを通して、企業理念「“みんなと暮らすマチ”を幸せに」を具体的な行動に落とし込んでいます。
企業理念を具現化して、ブランドイメージを確立
続いて、ローソンのビジョンについても考察してみましょう。
ローソンのビジョン
ローソンのビジョンは、「目指すは、マチの”ほっと”ステーション」です。CMなどでもこのフレーズが使われているので、聞いたことがある人も多いでしょう。
ローソンの企業理念「私たちは“みんなと暮らすマチ”を幸せにします。」は、「地域社会の一員として日常生活を支えていく」というローソンの存在意義を示しています。そして、ローソンのビジョン「目指すは、マチの”ほっと”ステーション」は、それを具体的にしたものと考えられます。
理念とビジョンの具現化でブランドイメージを確立
ローソンでは、企業理念「“みんなと暮らすマチ”を幸せにします。」を「目指すは、マチの“ほっと”ステーション」というビジョンに落とし込むことで、マチに安心感を与える日常生活の拠点(マチの”ほっと”ステーション)というブランドイメージを確立しました。
まとめ
この記事では、ローソンの企業理念を例に挙げて、理念をブランドやビジョンにどう落とし込むのか、を解説しました。
- ● ローソンの企業理念
- ● ローソンの企業理念を具現化する活動
- ● ローソンのブランディング:企業理念とビジョンの関係
ローソンは、企業理念「私たちは“みんなと暮らすマチ”を幸せにします。」を具体的な行動に落とし込むことで、地域や社会に価値を提供しながらブランドイメージを強化しています。これを機に、自社の理念をどのように実現し、ブランド価値を高めていくかを改めて考えてみませんか。
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15年にわたって一橋ICSで講義を務めた亀谷が、じっくりお話を伺います。