企業理念の作り方|企業の価値を反映させた本質的な理念とは
企業理念とは、組織の価値観や目指す方向を明らかにし、その存在意義や社会的な役割を社内外に伝えるものです。
しかし、企業理念を作ろうと試みているものの、なかなか進まずに悩んでいる組織も多いのではないでしょうか。理念の策定が難しいのは、ただ言葉を考えるだけでは、本質を反映した理念にたどり着きにくいからです。
「この会社がなぜ存在するのか」「どのような価値を社会に提供しているのか」といった根本に立ち返ることで、自社の存在意義や目指す方向がより明確になります。こうした問いかけが、企業理念に込めるべき価値観を見つけるきっかけとなるでしょう。
この記事では、企業理念を効果的に策定するための具体的なステップを紹介します。
企業理念の作り方 2ステップ
企業理念の作り方については、さまざまな情報が紹介されています。それぞれ内容に多少の違いはありますが、基本的な考え方は共通しているでしょう。
整理すると、企業理念を作る手順は以下の2ステップにまとめられます。
企業理念策定の具体的な手順
- Step1: 以下の内容を明確にする
- ● 自社の成り立ちと社会における役割
- ● 自社の強みや独自性
- ● 自社が大切にしている価値観や信念
- ● 自社が描く未来像
- Step2:企業理念を策定する
この手順が必要な理由
この手順を読んで、
「企業理念を作るのは意外と面倒だな」
「自社の成り立ちは理念とは関係ないのでは?」
と思った人もいるかもしれません。早く理念を決めたいのに、前段階が多くてまわりくどいと感じることもあるでしょう。
しかし、このようなステップを踏むことで、企業理念がより本質に根ざしたものになります。
最初から「どういう言葉にする?」「キーワードは?」といった形で進めるのももちろん良いのですが、創業時に抱いた思いや企業が果たしたい役割、強み、貫きたい信念などの基盤を理解したうえで検討すれば、より自社らしさが反映された理念になるでしょう。
グラビティーワンの「企業理念の作り方」4ステップ
ここからは、当社グラビティーワンの企業理念の作り方を紹介します。当社では、以下の流れを基本として企業理念を作り上げていきます。
Step1:経営陣へのインタビュー
Step2:従業員を交えたワークショップ
Step3:最終セッション
Step4:企業理念の決定
Step1:経営陣へのインタビュー
まずは、経営陣に対してインタビューを行い、情報を整理します。このインタビューでは、会社の歴史や経営陣が現在描いている理想像、目指すべき方向性を確認し、会社の存在意義や「どうありたいか」をまとめていきます。
企業理念の基盤となる考え方を整理し、策定のための軸を決める重要な過程です。
Step2:従業員を交えたワークショップ
次に、従業員の声を吸い上げるためのワークショップを開催します。 企業理念は経営陣だけで決めるのが一般的ですが、グラビティーワンでは、従業員が考える会社の価値や、彼らが日々の現場で感じている「会社の強み」や「貫きたい信念」を確認することを大切にしています。
このワークショップを行うと、経営陣が把握していない現場の価値観や、企業としての独自性が浮き彫りになります。会社の存在価値が、より具体的に見えてくるでしょう。
Step3:最終セッション
経営陣の視点と現場の声を十分に引き出したら、経営陣を中心としたメンバーを集めて最終セッションを行います。
ここでは、会社の個性や独自性を生かしながら理念の全体像を組み立てていきます。意見を集めてその中から多数決で決めるのではなく、各自の考えを引き出して全員で検討することで、より良いものを作り上げていきます。
Step4:企業理念の決定
最終セッションでまとめた内容を基に、企業理念を決定します。 企業理念の決定において当社が大切にしているのは、経営陣の全員の協働により、全員が納得できるものを作ることです。こうして作り上げられた企業理念は、企業の本当の姿を反映させた良いものになるでしょう。
企業理念の3要素とは
企業理念の3要素とは、「ミッション」「ビジョン」「バリュー」のことをいいます。それぞれ、次のような意味を持っています。
- • ミッションとは…自社の存在意義や社会に対して果たすべき使命
- • ビジョンとは…将来の「ありたい姿」や目指す未来像
- • バリューとは…自社が社会に対して約束する価値
企業理念は、ともすると抽象的になってしまい、伝わりにくい場合があります。このように3つの要素に分けて構造的に整理することで、企業としての意思や方向性をより明確に示すことができます。
詳しくは、以下の記事で紹介していますので、あわせてご覧ください。
企業理念の作り方のポイント
企業理念を作ろうと思っても、漠然としていて何から手をつけたらよいか分からない場合も多いのではないでしょうか。
そのような場合におすすめなのが、「マクロの視点」と「ミクロの視点」で考える方法です。 どういうことなのかを、具体的に解説します。
マクロの視点とは
マクロの視点とは、「自社が何のために存在しているのか」「社会に対してどのような役割を果たすのか」といった、全体を俯瞰するものの見方をいいます。 ミッションを作る場合のマクロの視点は、「自社の存在意義や社会に対して果たすべき使命」を考えることです。
ただし、こうした問いかけは漠然としているため、実際に言語化しようとすると手が止まってしまうことも少なくありません。その場合に有効なのが、ミクロの視点です。
ミクロの視点とは
ミクロの視点とは、漠然とした問いを具体的に考えるものの見方をいいます。
ミッションを作る場合であれば、「自社の商品を誰に届けたいのか」「その商品は、相手にとってどのような価値があるのか」といった具体的な視点で考えていくのが、ミクロの視点です。
ミクロの視点で問いを掘り下げていくと、自社の価値や存在意義が徐々に見えてくるでしょう。企業理念というと、大きな視点で捉えるものと思われがちですが、このように視点を変えてみると、言葉にしやすくなることがあります。
企業理念3要素の作り方(ミクロの視点から考える)
ミッション・ビジョン・バリューをどのように作っていくかを迷ったら、まずはミクロの視点で問いかけることから始めてみませんか。ここでは、具体的なミクロの視点での問いを紹介します。
ミッションを作るための問い
- • 誰に、何を届けたいのか
- • その商品を届けることで、相手にどのような価値を提供できるのか
- • その商品は、どのような独自性を持っているのか
- • その商品を通じて、顧客と何を実現したいのか
ビジョンを作るための問い
- • これから5年、10年の間に、今の顧客とどのような経験をしたいか
- • 5年後、10年後に、どのような顧客に商品を届けたいか
- • 5年後、10年後に、顧客や社会からどのように評価されていたいか
- • 5年後、10年後に、業界や社会の中でどのようなポジションを築いていたいか
- • 5年後、10年後に、自社の存在によって変わっていると望ましい社会の姿とは何か
バリューを作るための問い
- • 顧客に、どのような理由で自社の商品やサービスを選んでもらいたいか
- • 自社の商品やサービスには、他社にはないどのような強みがあるか
- • 顧客や社会に対して、どのような価値を約束したいか
- • 将来にわたって変わらず提供し続けたい価値は何か
企業理念策定に関するよくある質問とその回答
企業理念の策定についていろいろな疑問を抱えている企業も多いのではないでしょうか。そこでここからは、企業理念に関するよくある質問とその回答を紹介します。
Q:当社の規模では、企業理念はまだ早いような気がします
A:企業理念は、組織の存在価値や考え方を社内外に伝えるために作成します。しかし中には、「当社にはまだ早いのでは?」と決めかねている企業もあるのではないでしょうか。
企業理念は、企業の規模やステージによって要不要が決まるものではありません。今がどういう状況であれ、自社の存在価値や考え方を共有し、社員が同じ方向を向いて進んでいくことは大切だからです。
Q:企業理念を考えたものの、どれも「よくある言葉」に思えてしまいます
A:企業理念が「よくある言葉」に感じられるときは、表面的なフレーズに頼っている可能性があります。
企業理念策定で重要なのは、良い言葉を考えることではなく、自社の本質を見つけ出すことです。自社の成り立ちや強み、現場の声を丁寧に吸い上げて独自の価値観を掘り起こすことで、自社らしい理念が作れるようになるでしょう。
Q:事業が多岐にわたるので、どれに合わせて理念を考えるべきなのかが分かりません
A:事業領域に複数に及んでいても、企業の価値観や存在意義が変わるものではありません。企業理念は、事業をどうしたいかではなく、自社がどうありたいかを反映させて作るものなので、事業規模の大小に関わらず考え方は同じです。
事業が多角化するほど、軸となる理念が大切になります。事業が多岐にわたる企業や、規模が大きくて収集がつかなくなってしまった企業こそ、早い段階での理念策定に取り組みましょう。
まとめ
この記事では、企業理念の作り方を紹介しました。
- ● 企業理念の作り方
- ● グラビティーワンの企業理念の作り方
- ● 企業理念の3要素とは
- ● 企業理念策定に関するよくある質問とその回答
企業理念は、会社の価値観や存在意義を伝えるための大切な指針です。自社の成り立ちや強みを踏まえて理念を策定することで、社員が共通の目標に向かって進むためのしっかりした土台が築かれるでしょう。
グラビティーワン株式会社では、企業理念策定についてのアドバイス、サポートをしています。「企業理念が自社に本当に必要なのか分からない」「何から始めれば良いか相談したい」など、気になることがあれば、ぜひお気軽にお問合せください。15年にわたって一橋ICSで講義を務めた亀谷が、じっくりお話を伺います。