パーパスブランディングとは?意味やブランディングとの違いを解説

パーパスブランディングとは?意味やブランディングとの違いを解説

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ここ数年、パーパスという言葉がよく聞かれるようになったと感じている人も多いのではないでしょうか。パーパス(Purpose)は、日本語で普通に訳すと「目的」ですが、経営においては「企業の存在意義」のような意味で使われています。

この記事を読んでいる皆さんの中には、

「パーパスの意味が今ひとつ分からない」
「パーパスって必要なの?」
「従来のブランディングとどう違うの?」

と、長い間モヤモヤした気持ちだった人もいるでしょう。中には、MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)をようやく決めたのに、また新しい言葉が出てきたと嘆いている人もいるかもしれません。

そこでこの記事では、パーパスやパーパスブランディングとは何なのか、これまでの経営やブランディングとは何が違うのか、そしてなぜパーパスブランディングが注目されるようになったのかを解説していきます。

パーパスとは

パーパスとは、企業が「何のために存在するのか」を明文化したものです。

捉え方によっては企業理念と似ていて、重なる部分もありますが、パーパスというのはあくまでも社会に対してどういう存在なのかを示す概念であり、企業理念と完全に区別しなければならないものではありません。

企業理念が「社会に対して果たすべき使命」「目指すべき未来像」など企業の向かう先に重点を置いたものであるのに対し、パーパスは現在の存在意義に重点を置いているといわれることもありますが、それも明確に決まっているものではないのです。

パーパスブランディングとは – 従来のブランディングとの違い

パーパスブランディングとは、自社のパーパスの認知度を高め、共感を集めてブランドイメージを作り上げていくことをいいます。一般的に、パーパスブランディングと従来のブランディングの違いは以下の点にあるといわれています。

  • ● 目的の違い
  • ● 訴求内容の違い

目的の違い

パーパスブランディングの目的は、自社が社会的にどういう存在なのかという視点でブランドイメージを作り上げることです。それに対し、従来のブランディングの目的は、商品を売るという視点でブランドイメージを作り上げることにあるという点が異なります。

ただし、企業の最終ゴールはあくまでも商品を売ることです。パーパスのことだけを考えているとその視点を忘れてしまいがちになりますが、売上なしに企業が存在するということはあり得ません。ブランディングに限らず、会社の施策は全て売上につながっているということは、忘れてはならない視点です。

訴求内容の違い

パーパスブランディングでは、「自社がどのように社会貢献をしているか」を訴求します。分かりやすい例を挙げると、「このようにより良い社会づくりを目指している」「サステナブルな素材を使ってSDGsを実現している」といったことを社会に伝え、その取り組みに対する共感を集めます。

一方、従来のブランディングでは、ブランドそのものについて消費者に伝えます。そして、そこに価値を見出した人が商品を購入し、ブランドを発展させていくという点が異なります。

パーパスブランディングが注目されるようになった背景

パーパスという言葉が最初に登場してから既に10年以上が経過していますが、ここ数年は特に頻繁にこの言葉が聞かれるようになりました。それには、次のような背景があると考えられています。

  • ● SDGsに取り組む企業が増えている
  • ● ESG投資が増えている
  • ● 若い世代に支持されている
  • ● 海外のビジネスで重視されている

SDGsに取り組む企業が増えている

SDGsとは、2015年のサミットで採択された「持続可能な開発目標」のことをいいます。企業に課せられた義務というわけではありませんが、皆が取り組むべき課題であると認識されており、何かしらの形でSDGsに取り組む企業は年々増えています。

そして、取り組んでいる企業はそれを外部に対してアピールするため、必然的にパーパスという言葉が表に出てくるようになったという背景があります。

ESG投資が増えている

ESGとは、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)に関する課題のことをいいます。近年このESGに関する課題への企業の取り組みが注目されており、投資や融資においても考慮されるようになりました。その動きは国内外で広がっており、国連では2006年にESG投資を含む投資原則が採択されています。

投資家が企業の存在意義に注目する動きは、今後ますます大きくなってくるでしょう。自社のパーパスを伝えて投資家に共感してもらうことが、投資や融資を受けるための条件の一つになってきています。

若い世代に支持されている

これから就職する若い世代の人々は、パーパス経営に興味を持っていて、パーパスを重視する傾向が強いといわれています。 若い世代の人々にとって、社会課題は身近な問題です。学校でSDGsを学んだり、環境問題について調べて発表したりと、小さい頃から社会課題を認識しながら育っているためです。

そのことから、社会に対して何らかの貢献をしている企業に共感しやすい傾向があり、それが、就職においてパーパスに注目する人が増えている背景にあるのです。今後は、人材確保のためにもパーパスブランディングが重要になってくるでしょう。

海外のビジネスで重視されている

海外の一部の国では、日本で広まるより前からパーパスブランディングに取り組む企業が増え始めていました。海外展開する日本企業の中には、海外の潮流を受けてパーパス経営を取り入れるようになった例もあります。 今後は日本でも、環境問題や社会問題への取り組みを中心としたパーパスブランディングに取り組む企業がさらに増えていくでしょう。

まとめ

この記事では、パーパスブランディングとは何なのか、これまでの経営やブランディングとは何が違うのかといった点について解説しました。

  • ● パーパスとは
  • ● パーパスブランディングとは – 従来のブランディングとの違い
  • ● パーパスブランディングが注目されるようになった背景

パーパスを策定するためには、まずは自社について理解し、企業理念とあわせて丁寧に検討することが重要です。

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