ブランディングに必要不可欠な「志を明らかにする」とは?

前回ブログよりスタートしました『シーズン2、亀谷がひもとくブランディング』。いかがでしたでしょうか? 少しでもブランディングを進めて行く上でのヒントが見つかりましたら大変嬉しく思います。

さて、第1回では「ブランド戦略の目的はファンをつくること」というお話をさせていただきました。また、そのために必要なポイントは2つあるとお伝えいたしましたが、今回はそのひとつである「志を明らかにする」とはどういうことか。こちらをひもといて参ります。

自分たちのブランドの志は何だろう?

志のイメージ

まずは、あなたのブランドの社会的な存在意義を言語化しましょう。

いきなり難しそうなことを言われても……。と思われたかも知れませんね。大丈夫です。少しずつひもといていきましょう。志の他に、理念、哲学、パーパス、ブランドコンセプトといった様々な呼び名がありますが、つまるところ「誰の、どのような困りごとを取り除き、社会をどうしていきたいのか?」を言葉にするということです。

その言葉は、自分たちを本気にさせますか? ワクワクさせますか? あるいは、誰がなんと言っても、無理だと言われても貫いていきたい想いになっていますか? そして、人々の共感を得られますか?

自分たちの志を掲げて、それが世のため人のためということなら共感を得ることができます。そしてそれは、あなたのブランドの独自性を表す、あなた達にしか言えない考え方でなければいけません。そこに言葉の奇抜さは全く必要ありません。平易な言葉で良いのです。

企業や商品などを見ていると、こうした志をきちんと言葉にして実践できるところが成長しています。

志があるから乗り越えるべき課題も見えてきますし、独自性を高めていける。そのようにして出来た商品なりサービスは自信を持ってお客様に提供できますし、社員も自分の意識を高く持っていけます。後戻りしないし、一見すると同じところをぐるぐる回っていそうで、実はスパイラルアップしていきます。

今という瞬間はいつでも大変ですが、振り返って見ると実は昇っていたという方々を私はたくさん知っています。逆に、志がはっきりしない会社はなかなか伸びません。現実には、スパイラルが二次元的に同じところをぐるぐる回っているということはありませんから、アップしないのであればダウンすることを意味します。算数のゼロは、人と時間とお金を使った実社会ではマイナスでしかないからです。

グラビティーワンにも志があります!

正直に申し上げます。私たちの会社には、創業当初は志を明文化した企業理念はありませんでした。しかしながら、オーナーである私の中には「こうしたい」という信念がありました。スタッフと共に毎日深夜まで、無我夢中で頑張って仕事をしていたのに、何故かクレームが多く、これは何なのか?と悩んでいました。

そんな時にリーマンショックがあり、潰れる寸前までいきました。いや、実際は潰れていたんですが、親友であるトレイントラックスの原田さんと会計士の廻りさんに助けられて命拾いしたというのが事実です。原田さんから、「もう一度きちんとやればいいじゃないか」という応援をいただき、その時に同じところをぐるぐる回っていることに気が付いたのです。

「誰の、どのような困りごとを取り除き、社会をどうしていきたいのか?」という、それまでにお客様に説いていた問いが、もろに自分にはね返ってきた瞬間でした。本を読んだだけの浅はかな若輩者に仕事を任せる人はいませんよね。当時の私はそうだったような気がします。とは言っても満足してくださるお客様も結構いらっしゃいましたし、実績も積んではいたのです。しかしそこから、自分で体験したことだから志の重要性をきちんとお伝えできるようになろう、志をお客様と一緒につくる本当のプロになろうと目線を上げて専念することにしました。

その時に考えたものが我が社の企業理念です。このブログにも掲載しておきます。

手前味噌ではありますが、企業理念を構成するミッション・ビジョン・バリュー・行動指針の正しい定義について、ご参考程度にご覧ください。

ミッションとは企業の存在意義であり、「社会をどうしていきたいのか?」と言った使命や大義のことです。社会において果たすべき役割とも言えます。大義である訳ですから、志のなかで最上位に位置付けます。

それではミッションを叶えるために「どんな会社にしたいのか?」というのが、ビジョンです。社員のみんなで追いかける会社の理想像です。

次にバリューです。ビジョンで掲げた会社になるために、「色々な人がいるけれど、ここはみんなで共有しておかないとバラバラになってしまうから、この考え方は大事にしようね」という集団の価値観がバリューなのです。
考え方の他に、本質的な提供価値といいますか、その会社の競争力を支えるコンセプトをあてることもあります。

そして、ミッション・ビジョン・バリューを実現するために、日々の行動で気をつけるべきことを行動指針、Code of Conductと言います。

では、グラビティーワンの企業理念はどうなっているかをお話しましょう。

企業理念

「素敵なブランドが増えれば、善い選択肢を人々に提供してくれるでしょうし、同時に世の中を豊かにしていくでしょう。そこに関わることが自分たちの社会貢献の仕方なのです」という想いをミッションにしています。

「お客様」というのはクライアントの消費者やお取引先です。「社員」はクライアントの社員です。どちらに対してもハッピーなブランドを増やしていくことが私たちの大義なのです。「お客様をファンに、社員をファンに」を一番上に位置付けて、ビジョン・バリュー・行動指針が続きます。

私たち自身が、私たちのお客様のファンになるにはどうしたら善いのかを探ることで、課題発見と解決に向けた視点が生まれると確信していますし、感謝の心と敬意が生まれると思っています。と言うことは、客観的に見ると、企業理念とは上から見ても下から見ても、または真ん中から見ても良い。言わば企業理念とは、迷ったり困った時や新しいことを始める時に、どこから見ても進むべき道を示してくれる羅針盤なのです。

もちろん私も組織の一員ですから、これを守っていますし、判断に迷った時はいつも見直しています。なぜなら、これを追求していれば致命的な間違いは犯しませんし、色々ありますが厳しい判断も出来ます。たまに振り返ってみると着実に喜びの方が増えているんです。コロナで大変だけれども、お客様と社員と関わる全ての皆様に支えていただいているのは、この企業理念を事業の軸にしているからだと思っています。もっと社会に貢献しなさいと、次々に使命をいただいていることを感謝しています。

はい、ここで、グラビティーワンの企業理念のお話は終わりです。自己顕示欲が強い人みたいで、恥ずかしくなってきました。使命を果たせたかどうかは分かりませんが、何某かの貢献ができたであろう弊社のお客様の方々を参考にしていただければと思います。サイトの「ケーススタディー」「お客様の声」を見ていただければ幸いです。

さて、次回はもうひとつの「接点をデザインしよう」についてのお話をさせていただくことにいたしましょう。お楽しみに! 特に「接点をデザイン?」と思われた方は是非、次回もご一読ください。