パーパス経営は企業に必要?パーパスを生かせる企業と生かせない企業の違い

パーパス経営は企業に必要?パーパスを生かせる企業と生かせない企業の違い

「パーパス経営」という言葉が国内にすっかり定着しました。

ESG投資の拡大や若い世代の価値観の変化といった社会の価値観の変化にともない、投資家もこれまで以上にパーパスを重視するようになっています。

自社でもパーパスを策定しようと思いながらも、どうすれば良いのかわからないという企業も多いのではないでしょうか。

そこで、この記事では改めてパーパスとは何なのか、パーパス経営とはどういうもので、なぜ重要なのかを整理して紹介します。

パーパスとは

パーパスとは、企業の社会における存在意義を明文化したものです。自社が何のために存在するのかを示し、社会にとってどのような存在であるのかを社内外に向けて明確にするのが、パーパスの役割です。

投資家の考え方や社会情勢の変化により、企業は売上や利益だけでなく、社会的な価値でも評価されるようになりました。そのため、多くの企業がパーパスを策定し、社会における自社の役割を発信しています。

パーパスと企業理念、経営理念、MVVとの違い

パーパスと企業理念、経営理念、MVVとの違い

パーパスは、企業理念や経営理念、MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)と合わせて発信されることも多いです。ここで、それらの違いを明確にしておきましょう。

パーパスと企業理念の違い

パーパスと企業理念は、どちらも企業の存在意義を示すものですが、主体となるものが異なります。

パーパスは、「社会に対して」どういう存在なのかということを示すもので、社会にとっての価値を主体に考えられています。一方、企業理念は「企業が」なぜ存在するのか、どういう存在であるべきなのかといった、企業の価値観を表すものです。

パーパスと企業理念は、その視点と役割に違いがあります。

パーパスは、企業が社会に対して果たすべき役割を示すものです。企業がなぜ存在し、社会にどのような価値を提供するのかを明確にし、社会全体との関係を重視します。パーパスは基本的に長期的に変わらず、企業の経営戦略やブランドの根幹をなすものとして機能します。

一方で、企業理念は、企業の価値観や経営の基本方針を示すものです。パーパスが「社会との関係」を重視するのに対し、企業理念は「企業としてどうあるべきか」「どのような考え方で経営するか」に焦点を当てます。そのため、企業理念は経営環境や事業戦略の変化に応じて見直されることがあります。

パーパスと経営理念の違い

パーパスと経営理念も似た概念ですが、焦点の違いがあります。

経営理念は、経営者の価値観や企業の経営方針を明文化しており、事業における意思決定の基盤となるものです。

パーパスは「自社がどのような存在なのか」「何のために事業を行うのか」を示しているのに対し、経営理念は「どのような価値観で経営を進めるのか」を示すという違いがあります。

パーパスとMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)の違い

MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)は、企業の使命や経営の方向性などを示すものです。

  • ● ミッション(Mission):企業が果たすべき使命や目的
  • ● ビジョン(Vision):企業が目指す未来の姿
  • ● バリュー(Value):企業が社会に対して約束する価値

パーパスは、これらのMVVを支える根本的な「企業の存在意義」を示すものです。「なぜこの企業が存在するのか」という問いに答えるのがパーパスであり、MVVはそのパーパスを実現するための手段と言えます。

これらをまとめると、以下のようになります。

意味 視点
パーパス 企業の存在意義 「社会に対して」どういう存在か
企業理念 企業の価値観 「企業が」どうあるべきか
経営理念 経営者の価値観や経営方針 「経営者が」どのように経営するか
MVV 企業の使命、目指す姿、提供する価値 企業が「何を目指し」「どう行動するか」

パーパス経営とは

パーパス経営とは、簡単にいうと、パーパスを軸にして会社を経営することを指します。従来の経営のように利益だけを追求するのではなく、社会的価値を重視し、社会における自社の役割を果たしながら成長していくのが、パーパス経営です。

パーパスの本質とは

すべての企業が、社会に対して何かしらの価値を提供しています。たとえば、ある企業が商品を製造している場合、その商品は、顧客の課題解決に役立っています。工場で多くの人が働いているのであれば、その地域に雇用を生み出し、働く人々の生活基盤を支えるという社会的な役割も担っていることになります。

つまり、パーパスはすべての企業に本質的に存在しているといます。それを明文化し、経営の軸にするのがパーパス経営なのです。

パーパスを経営に生かせる企業と生かせない企業の違い

すべての企業にパーパスが本質的に存在しているにもかかわらず、それを経営に生かせている企業と生かせていない企業があるのはなぜでしょうか。

両者の違いは、自社の存在価値を正しく認識できているかどうかにあります。

自社の価値や存在意義を理解しており、社会に対して何ができるか、何をどうしたいか、そのことにおける自社の強みは何なのかを理解している企業は、パーパスを経営に生かし、社会課題を解決しながら事業を進めているのです。

まとめ:パーパス経営を始めるには?

この記事では、パーパスやパーパス経営について紹介しました。

  • ● パーパスとは
  • ● パーパスと企業理念、経営理念、MVVとの違い
  • ● パーパス経営とは

パーパスを策定するためには、まず 「自社がどういう企業なのか」 を正しく理解し、社会の中での存在意義を明らかにする必要があります。しかし、実は自社を客観的に見るのは難しく、なかなかうまくいかないという企業も多いのではないでしょうか。

自社の特徴を整理し、パーパス経営を実践するための第一歩を踏み出したい方は、ぜひグラビティーワンにご相談ください。

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