ファンを増やす「タッチポイントの体験デザイン」とは?具体例を交えて解説

ファンを増やす「タッチポイントの体験デザイン」とは?具体例を交えて解説

あなたのブランドは、顧客にとってどのような存在ですか。
多くのファンに愛され、迷わず指名買いされるブランドになりたいと思いませんか。

この記事では、そのようなブランドになるために企業がすべきことの一つとして、タッチポイントの体験デザインについて解説していきます。

タッチポイントとは

タッチポイントとは、顧客とブランドとの接点、顧客がブランドに対して何らかの感情を抱く場面のことをいいます。タッチポイントには、例えば次のようなものがあります。

  • ● 店舗(訪れた時の見た目や雰囲気で、ブランドに対して何らかの感情を抱く)
  • ● 商品(手にとった時、使った時の体験で、ブランドに対して何らかの感情を抱く)
  • ● SNS(投稿を見て、ブランドに対して何らかの感情を抱く)

顧客は、ブランドと接するたびに何かを感じます。そして何回も接しているうちに、ブランドイメージができあがっていきます。

タッチポイントにおける「体験のデザイン」とは

企業がタッチポイントを重視するのは、そこでの体験によってブランドイメージが決まってしまうからです。

それぞれのブランドは、企業側の考える「ありたい姿」を持っています。顧客の持つブランドイメージをその「ありたい姿」に近づけるには、顧客に自由に感情を抱かせるのではなく、顧客の気持ちを企業側がコントロールするのが一つの近道になるでしょう。

顧客は、タッチポイントにおいてさまざまな体験をし、その積み重ねでブランドに対するイメージを築いていきます。理想のブランドイメージを作り上げるためには、「良い体験をしてもらえればラッキー」と運任せにせず、顧客に何を体験してもらい、どう感じてもらうかを企業側がコントロールするのです。これが、タッチポイントにおける体験デザインです。

タッチポイントにおける「体験のデザイン」その具体的な方法とは

タッチポイントでの体験をデザインするといわれても、何をどうしたら良いのか分からない人も多いでしょう。そこで、その方法を3つのステップに分けて具体的に紹介していきます。

Step1:ビジョンを理解する
Step2:ビジョンを具体的な体験に落とし込む
Step3:実践する

Step1:ビジョンを理解する

あなたは、自社のビジョン、ブランドの目指すイメージを言葉で説明できますか。

ビジョンの理解は、ブランディングを進めるうえでの土台ともいえる重要な事柄です。なぜかというと、それを理解して初めて、お客様に伝えることができるからです。

一つ例を挙げて考えてみましょう。例えば、企業がこのようなビジョンを掲げているとします。

ビジョン:持続可能な社会の実現に貢献する

このビジョンを体現するためには、まずはその意味を正しく理解する必要があるでしょう。「持続可能な社会とはどういう社会なのか」「それを実現するとはどういうことなのか」「自社がどうやってそれに貢献するのか」を自分なりに理解していなければ、どう行動すれば良いのか分からないからです。

近年、ビジネスにおいて「解像度を高める」という言葉が聞かれるようになりました。ビジョンの理解においてすべきことは、まさに「解像度を高める」ことに他なりません。ぼんやりした理解のままで放置するのではなく、くっきり鮮明に描けるところまで解像度を高めていきましょう。

Step2:ビジョンを具体的な体験に落とし込む

ブランドの向かう方向を理解したら、それを実現するためにはどのような顧客体験が必要かを具体的に考えていきます。

例えば、このところカフェで紙ストローが出されることが増えました。持続可能な社会を目指す企業にとっては、これもブランドビジョンの体現の一つかもしれません。アイスコーヒーという商品における顧客体験に紙ストローを加えることで、企業だけでなく顧客にも「持続可能な社会の実現」への具体的な行動を体験してもらうことになるからです。

このように、ただなんとなく施策を打つのではなく、顧客にどんな体験をしてもらうかまで落とし込んで決めること、これが、体験への落とし込みです。

Step3:実践する

顧客体験をデザインしたら、いよいよ実践です。先の例でいうと、実際にお客様に紙ストローを提供し、ブランドの姿勢を理解して一緒に体験してもらう、ということを行います。

プラスチックストローを紙ストローに変えるのは、大きなリスクを伴う施策でもあるでしょう。なぜかというと、紙ストローの方が高コストなうえに、顧客に「舌触りが悪い」「ふやける」といった不満を持たれる可能性が非常に高いからです。

それでも紙ストローを提供するという企業は、それなりの覚悟を持って、その姿勢を貫き通すことに決めたのでしょう。そして多くの顧客は、使いにくいという不満を持ちながらも企業の姿勢を受け入れて一緒に行動しています。紙ストローが嫌で離れた顧客もいるかもしれませんが、逆に、その姿勢に共感するファンも増えたのではないでしょうか。

これが、ファンを増やす「タッチポイントの体験デザイン」なのです。

まとめ

この記事では、ブランディングという視点で「タッチポイントの体験デザイン」について紹介しました。 皆さんも、ここで改めて、自社が何を目指しているのか、どういうブランドでありたいのか、そしてそれをどのように実現していきたいのかを考えてみませんか。

企業理念や、ミッション・ビジョン・バリューが決まっているなら、それに対する理解を深めることから始めてみるのも良いかもしれません。そして、もしもまだ決まっていないのであれば、それを決めるところから検討してみませんか。

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