ブランド価値をさらに高める「機能的価値」「情緒的価値」の考え方

機能的価値と情緒的価値

ブランディングにおいて、次のような話を耳にしたことはありませんか。

「今は機能的価値で差別化するのが難しい時代」
「情緒的価値を高めることが大切」

もしかしたら、聞いたことはあるけれど、どういうことなのか「ピンとこない」と感じている人も多いかもしれません。

そこで今回は、ブランディングにおける機能的価値・情緒的価値とは何なのか、どのように考えたら良いのかを紹介していきます。

機能的価値・情緒的価値について考えることは、ブランドの価値を高めるうえでの一つの有効な方法です。ぜひ最後までご覧ください。

機能的価値・情緒的価値とは

機能的価値とは、商品やサービスの機能面での価値のことをいいます。それに対して情緒的価値とは、人がその商品やサービスに触れたときに体感する価値のことをいいます。 高級車を例に挙げて考えてみましょう。

車には、比較的手軽に購入できるコンパクトカーから、一千万円を超える高級車まで、実に様々な価格帯のものがあります。

その中で高級車は、安定感がある、エンジンの性能が優れていて音が小さい、ステアリングやアクセル、ブレーキの反応が非常に良いなどの特徴を持っています。シートは人間工学に基づいて設計されており、革製でヒーターまでついています。要人が高級車を選ぶのはボディが強くて安全性が高いため、というのは有名な話なのではないでしょうか。

これらは、機能面での価値、すなわち、機能的価値です。

では、高級車に乗っている人は機能的価値だけのために高いお金を払うのでしょうか。おそらく、そうではないでしょう。

高級車ならではの運転の楽しさやシートの座り心地、ラグジュアリーな気分、家族の喜ぶ顔。このような感情が、高級車に乗りたいという気持ちを生み出しているのではないでしょうか。輸入車やスポーツカーオーナーの中には、車仲間と出かけたり、コミュニティのオフ会に参加したりといった楽しみ方をしている人もいるかもしれません。

これらは、情緒的価値です。

ブランディングで重要なのは情緒的価値って本当?

一般的に、ブランディングのためには情緒的価値を高めることが重要だといわれます。なぜそのようにいわれるかというと、各社が研究に研究を重ねて技術力を高めた結果、優れた商品が数多く出回り、機能面で突出するのが難しくなったからです。

しかしブランディングにおいて最も大切なのは、機能的であれ情緒的であれ、全ての価値をブランドコンセプトに合わせることです。どちらかだけを対策すれば良いというものではないのです。

ブランディングとは、人々が持っているブランドイメージを、企業側が理想とする姿に近づけるための活動のことをいいます。イメージというのは人の気持ちなので、情緒的価値を高めれば良いのだろうと思われるかもしれません。しかし、ブランドイメージはブランドと顧客の接点における体験の積み重ねで作られていくものなので、機能面も含めた全ての接点をブランドコンセプトに向けることが大切なのです。

もう一度、高級車の例を考えてみましょう。

ある高級車のブランドコンセプトが「贅沢な時間」だとします。メーカーは、車に乗った人々に「贅沢な時間だった」と感じてもらえるように、全ての要素をブランドコンセプトに合わせて作り上げていくでしょう。例えば、エンジンの性能が低くてうるさい車や、振動が伝わってくるような乗り心地の車では「贅沢な時間」にはなりませんので、ブランドコンセプトに合わせるためには高性能なエンジンを積み、安定感を高める工夫をすることになります。自動運転の性能も、重視されるポイントの一つになっているでしょう。つまりブランディングには、機能面での工夫も必要なのです。

ブランディングにおいて考えるべきなのは、ブランドコンセプトに近づけるにはどういう機能が必要で、それによって顧客にどのような気持ちを抱いてもらいたいのか、そのためにはどういう車を作るのか、ということです。「ブランディングは気持ちだから情緒的」という区別をするのではなく、機能的価値も情緒的価値もブランドコンセプトに向けることが大切なのです。

ブランド価値をさらに高める「機能的価値・情緒的価値」の考え方

前項では、機能的価値も情緒的価値もブランドコンセプトに向けることが大切だとお伝えしました。それを聞くと、「それならわざわざ機能的・情緒的と分ける必要はないのでは」と思う人も多いかもしれません。

しかし、機能的価値と情緒的価値に分けてしっかりブランディングをしていくことは、ブランドの価値を高める一つの有効な方法でもあります。「機能的価値を高めるためにもっとできることはないか」「情緒的価値をさらに高める方法はないか」という視点でブランドを見つめてみると、さらに価値が高まっていくからです。

具体的に考えてみましょう。

高級車の販売店では、インテリアをラグジュアリーにして座り心地の良いソファを置き、店員も素晴らしい接客をしていることでしょう。ブランドコンセプトに合わせてサービスも充実させていて、完璧な状態になっているかもしれません。それでも、ブランド価値をさらに高めたいなら、「今の状態では十分ではないかもしれない」とあえて疑って「もっと情緒的価値を高める方法はないか」と考えてみるのです。

そうすると、例えば「高音質なスピーカーを置いてみてはどうだろうか」「思い切って商談テーブルを一つ減らして、広々させるのはどうだろうか」など、ブランドコンセプトである「贅沢な時間」を実現するためのアイデアが出てくるかもしれません。そうなれば、訪れる顧客の体験がさらに良いものになり、ブランドイメージも高まるでしょう。

まとめ

この記事では、「機能的価値」「情緒的価値」について整理し、ブランド価値をさらに高める考え方を紹介しました。

ブランドの価値が高まると、ファンが増え、価格競争にも巻き込まれにくくなります。ぜひ、貴社のブランドコンセプトをもう一度確認して、ブランド価値を高めるにはどうすれば良いかを考えてみませんか。

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