すべての企業が手に入れるべき「コアコンピタンス」とは
あなたは、会社の5年から10年先、そして20年先についてどのように考えていますか。
経営に成功している企業の多くは、競合他社にはない、他社が真似できない強みを持っています。そのような強みのことを、コアコンピタンスといいます。あなたの会社を5年から10年先、そして20年先も成長し続ける組織にするために、コアコンピタンスを作り、守り、生かすことを考えてみませんか。
この記事では、コアコンピタンスとは何なのか、企業にとってなぜ重要で、企業はそれをどうすべきなのかを解説していきます。
コアコンピタンスとは
コアコンピタンスとは、企業経営の核となる能力のことをいいます。コア(core:核)とコンピタンス(competence:能力)の二つの単語からなる言葉です。
企業経営の核となる能力とは、すなわち、「他社が追随できないような特殊な技術」や「真似できない経営方法」など、独自性があって秀でたものを指します。
そう聞くと、「うちはメーカーではないから関係ない」「そんなの大企業にしか無理だ」と思う人も多いかもしれません。しかし、コアコンピタンスは規模や業種に関係なくどの会社にも必要なものです。まずは、それがなぜなのかを理解しておきましょう。
コアコンピタンスは、以下の三つの条件を満たすものと定義されています。
- ● 顧客に利益をもたらすものであること
- ● 競合他社に模倣されないものであること
- ● 複数の市場や製品に横展開できるものであること
顧客に利益をもたらすものであること
どんなにすばらしい技術やサービスでも、それが会社に利益をもたらすものでなければ企業経営の核にはなり得ません。 会社に利益をもたらすということは、顧客に利益をもたらすということ。企業が持つべき能力は、顧客の役に立ち、顧客に利益をもたらすものであるべきなのです。
競合他社に模倣されないものであること
優れた技術やサービスは、常に競合他社に狙われています。簡単に模倣できるものはあっという間に他社に真似され、顧客も奪われてしまうでしょう。
そうならないためにすべきことは、他社が簡単に模倣できない能力を持ち、その強みを生かして事業を展開することです。経営に成功している企業の多くが、このような強みを持っています。
複数の市場や製品に横展開できるものであること
移り変わりの早い現代。一つのプロダクトやサービスで5年、10年、20年と存続し続けるのは難しいこともあるでしょう。2020年の新型コロナウイルス流行を機に、そのことに気付いた企業も多いのではないでしょうか。
自社の能力を他のプロダクトやサービスに横展開できるようにしておくことは、事業拡大はもちろんのこと、危機管理のためにも重要です。ここに挙げた三つの条件は、読んでみると「たしかにそうだ」と感じられるものばかりなのではないでしょうか。コアコンピタンスは、会社の規模や業種に関係なく、自社が長く存続し、成長企業であり続けるために必要なことなのです。
コアコンピタンスが見つからない時はどうする?
コアコンピタンスの重要性を理解したとしても、「そう言われても、うちには特別なものなど何もないよ」という企業も多いかもしれません。それならぜひ今から考えて、磨いていきましょう。
- ● 顧客にもっと利益をもたらすためには何をすれば良いか。
- ● 技術を模倣されないためにはどうすれば良いか。
- ● 何をどう強化すれば、技術を横展開できるようになるのか。
このように見つめ直すことで、事業がより強い独自性を持ったものになっていくでしょう。
コアコンピタンスに関する注意事項
コアコンピタンスは、企業経営の核になるものです。方向性を誤らないように、以下のポイントに注意して展開していきましょう。
正しく見極める
コアコンピタンスに関する情報は、書籍やインターネットで調べると簡単に見つかります。「コアコンピタンスの見つけ方」として、SWOT分析などの方法が解説されているのを見たことがある人も多いでしょう。
しかし、そのような分析は誰もが簡単にできるものではないという点に注意が必要です。なぜなら、見よう見まねでトライしても、データが不足していたり、事実の中に理想が混ざってしまったりして正確な分析にならないことが多いからです。
コアコンピタンスは、経営の核となる能力です。その見極めを誤ることは、すなわち経営判断を誤るということです。その重要性を理解し、正確に見極めるように努めましょう。
事業の仕組み化を念頭に置く
企業経営において、事業の仕組み化はとても重要です。仕組み化せずに人に頼る経営をしていたら、その人がいなくなると同時に事業が破綻してしまうからです。
例えば、あなたの会社が「ある技術」をコアコンピタンスとしているとしましょう。その技術を扱えるのがエンジニアAさん一人しかいないとしたら、Aさんが退職すれば会社は経営の核となる技術を失うことになります。それどころか、コアコンピタンスをAさんの転職先に奪われてしまうおそれもあるでしょう。
事業の仕組み化は、多くの企業が抱えている課題かもしれません。人に頼る経営から脱却できるかどうかが、会社の規模拡大の鍵を握っているといっても過言ではないでしょう。
企業理念をベースに事業展開する
企業理念は、組織の根本的な価値や考え方を明確にしたものです。そして、コアコンピタンスはこの上に成り立つものであるべきです。
どういうことなのかを説明しましょう。例えば、ある企業が次のような企業理念を掲げているとします。
企業理念:プロダクトによって持続可能な社会に貢献する
それなのに、この企業のコアコンピタンスが有害物質を発生させて何かを製造する技術だったらどうでしょうか。たとえそれが唯一無二の価値を生み出す技術であっても、競合他社には真似できないものであっても、そのまま事業を進めれば企業の根本的な価値を覆すことになってしまうでしょう。
経営は、常に企業理念の上に成り立つものでなくてはなりません。それを念頭に置いて事業を展開していきましょう。
まとめ
この記事では、企業が成長し続けるための「コアコンピタンス」の考え方を解説しました。
コアコンピタンスは、大企業やメーカーに限られたものではなく、すべての企業が手に入れるべきものです。あなたの会社が成長し続けるために、ここで一度、経営を根本から見直してみませんか。グラビティーワン株式会社では、様々な組織のブランディングをお手伝いしています。ブランド戦略の策定から、理念やブランドコンセプト作り、コアコンピタンス、インナーブランディング、ロゴデザイン、パッケージデザインまで、15年にわたって一橋ICSで講義を務めた亀谷が相談を受け付けています。まずはじっくりお話を伺いますので、ぜひお気軽にお問合せください。