企業ブランディングと商品ブランディングの関係

企業ブランディングと商品ブランディングの関係

ブランディングを進めていく中で、

「企業のブランド戦略と商品のブランド戦略が合わなくなってしまった」
「商品を売るために商品ブランディングを最優先にしたい」
「企業ブランディングと商品ブランディングを切り離したい」

このような課題に直面したことはありませんか。

複数の商品を扱っている会社では、それぞれのチームが独自に施策を進めてしまい、ブランドイメージが一致しなくなることも多いかもしれません。目の前の商品売上が気になり、商品ごとにコンセプトを変えたくなることもあるでしょう。

しかし本来は、企業のブランド戦略を基にして商品のブランド戦略を作っていくのが基本です。長い目で見てブランドの地位を確固たるものにするためには、企業ブランドを守ることが重要だからです。

そこでこの記事では、企業ブランディングと商品ブランディングの関係や、売上向上のためのブランディングの基本的な考え方について紹介していきます。

売上向上のためにすべきこと:WhoとWhat

あなたはこれまでに、「売上を○○円に増やすための戦略会議」のようなものに参加したことはありますか。このような場合、アイデアをどんどん出し合うブレストミーティングが開かれることも多いのではないでしょうか。

しかし売上を伸ばすために本来すべきことは、漠然とアイデアだけを出していくのではなく、「必要な人に対する必要な施策」を検討することです。誰に(Who)何を(What)すると売上がどう増えるかを検討して初めて、施策やその優先順位が明確になるからです。

ここからは、WhoとWhatについて考えていきましょう。

Who(誰に):顧客理解とは

まずは「Who(誰に)」を整理してみましょう。整理の方法は色々ありますが、ここでは大きく4つの項目で消費者を分類していきます。

  • ● 需要があるかないか(商品を必要としているかどうか)
  • ● 商品を認知しているかどうか
  • ● 購入するかしないか
  • ● リピートするかしないか

企業ブランディングと商品ブランディングの関-5

企業が目指しているのは、下段の人を上段に、左の人を右に移すことなので、以下のようになるでしょう。

企業ブランディングと商品ブランディングの関-6

売上を増やすためには、この矢印一つひとつについて考えていけば良いということが見えてきました。続けて、What(何を)についても整理していきましょう。

What(何を):ブランディングの役割とは

実はWhatには、ブランディングが役割を担っている部分とマーケティングその他が担っている部分があります。そこで今回は、ブランディングの役割に絞って解説していきます。

ブランディングとは

まずは改めて、ブランディングとは何かを確認しておきましょう。 ブランディングとは、消費者がブランドに対して持っているイメージを、企業側が考える「ありたい姿」に近づけるための活動のことをいいます。平たくいうと、ブランドイメージを向上させることです。

ブランディングの役割とは

ブランディングがどのような役割を担っているのかを確認するために、さきほどの図の中の「商品認知」について考えてみましょう。

企業ブランディングと商品ブランディングの関-9

商品を認知していない人に認知してもらう、すなわち認知拡大のためには、ブランディングが重要な役割を担っています。

認知というのは、名前をただ知っているということではなく、それがどのようなもので、他社製品と比べてどういう特徴があるかといった点まで詳しく理解していることをいいます。 認知拡大のためにすべきことは色々ありますが、最も重要なのは、ブランドのコンセプトを消費者に明確に伝えることです。

例えば、あなたの会社が「壊れにくい」というコンセプトの家電製品メーカーだとしましょう。ターゲットは、家電製品を長く使い続けたい人です。それなのに、「デザインが良い」と謳ったCMを流してしまったらどうなるでしょうか。おしゃれなデザインの家電を探している人の目には留まるかもしれませんが、「壊れにくい」というコンセプトが薄れてしまうため、本来の顧客層の目には留まらなくなってしまう可能性もあるでしょう。

ブランドのコンセプトを消費者に明確に伝えるのが重要だと述べたのは、これが理由です。続けて、さきほどの図の「リピート」についても考えてみましょう。

企業ブランディングと商品ブランディングの関-8

リピート顧客を増やすという点でも、ブランディングが重要な役割を担っています。ここで大切なのは、ブランドイメージを崩さず保ち続けることです。

例えば、あなたの会社がハイグレードな自動車のメーカーだとします。エンジンなどが高性能なのはもちろんのこと、シートは革張りでヒーターもついていて、高級感あふれるデザイン。ディーラーはインテリアもラグジュアリーで、行けば手厚くもてなしてもらえます。リピート顧客も多く、中でも上顧客は2年ごとに新車に買い換えています。

しかし、ある年から突然ディーラーがラフな印象の店構えにしたり、経費削減のためにもてなしをセルフサービスに変えたりしたらどうなるでしょうか。ラグジュアリーなイメージを求めている上顧客が他メーカーの車に乗り換えてしまう可能性もあるでしょう。

ブランドイメージを崩さず保ち続けるのが大切だと述べたのは、これが理由です。

企業ブランディングと商品ブランディングの関係

ここまでは、売上とブランディングの関係について紹介してきました。ここからは、売上を伸ばすための企業ブランディングと商品ブランディングについて考えていきます。

ここで、企業ブランディングと商品ブランディングの関係を改めて整理しておきましょう。 企業ブランディングとは、自社がどういう会社なのか、社会に対してどのような役割を担っていて、そのために何をしているのかを世の中に向けて発信することをいいます。消費者に、正しい企業イメージを持ってもらうための活動です。

それに対して商品ブランディングとは、商品の売上を増やすために商品イメージを向上させる活動のことをいいます。

あなたの会社で商品ブランディングを行う際、企業のブランド戦略はどこまで反映されていますか。全く反映されていない、あるいは、ある程度反映されているが100%ではないという場合は注意が必要です。上述の家電メーカーや自動車メーカーの例のように、顧客を増やし、リピートしてもらうためには企業イメージと商品イメージが常に首尾一貫していることが大切だからです。

事業を長く続けていると、冒頭のような

「企業のブランド戦略と商品のブランド戦略が合わなくなってしまった」
「商品を売るために商品ブランディングを優先したい」
「企業ブランディングと商品ブランディングを切り離したい」

といった課題に直面することもあるでしょう。そのような場合には、企業のブランド戦略まで立ち戻って考えることをおすすめします。

まとめ

この記事では、企業ブランディングと商品ブランディングについて解説しました。

商品ブランディングにおいて大切なのは、企業のブランド戦略を基にして進めていくことです。目の前の商品売上も大切ですが、長い目で見てブランドを育んでいくことはもっと大切です。方向を誤ったり、見失ったりしたときには、基本に戻って立て直しましょう。

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