2024年ブランディングはどう変わる?グラビティーワン亀谷が語るトレンドと生成AIの今後

技術が進化し、色々なことがめまぐるしく変わる今の時代。ブランディングも例外ではなく、業界トレンドも少しずつ変わってきています。

そこで今回は、2024年のブランディング業界はどう変わっていくのか、そして、時代と共に進んでいくために私たちはどうすべきなのかを、グラビティーワン 亀谷に語ってもらいました。

2024年ブランディングはどう変わる?グラビティーワン亀谷が語るトレンドと生成AIの今後

グラビティーワン株式会社
代表取締役・クリエイティブディレクター
亀谷 勉

2024年ブランディングのトレンドとは

―まずはブランディングのトレンドについて伺います。2024年のブランディング業界において、今注目されているのはどのようなことでしょうか。

私はブランディングは経営視点で考えるべきだと思っていますので、その視点でお話しすると、2024年はESGが今よりもっと注目され、重視されるようになると考えています。

ESGとは、Environment(環境)、Social(社会)、Governance(ガバナンス)の略。昨今多くの企業が注目し、様々な取り組みをしているのをご存知の方も多いでしょう。これからは、ESGについて会社がどう考えているのか、どのような取り組みをしているかを、事業を通して発信していくことが重要になると思います。

具体的には、自分たちの会社が環境に対してどのような行動をしているのか、社会をどう良くしていきたいのか、そして会社や従業員をどのように管理していくのか。これらに注目し、積極的に発信しているブランドが世の中から認められ、成長していくでしょう。

―自社の事業に合った社会貢献とは何かを考え、進めていくということでしょうか。

そうですね。ESGとは、まさに社会貢献です。つまり、何をすれば世の中の役に立てるかを考えるということですね。

例えば、農業は環境に直結した産業であり、食料を扱うという意味で社会に対する役割も担っています。自動車会社は、CO2削減が話題になることが多いため環境問題への取り組みが注目されやすいですが、車という移動手段を使って社会をどう変えるのかという点も重要でしょう。新聞社なら、もしかしたら自分たちはESGに直接的に貢献していないと考えているかもしれませんが、正しい情報を発信することで貢献をしていますよね。

―それぞれの企業にはそれぞれの立場でできることがあるということですね。それを見つけるために、企業はどのような努力をしていくと良いでしょうか。

世の中をどうしていきたいのか、それに対して自分たちがどのように役に立ちたいのかを社員の皆さんで議論することです。経営陣だけでなく、若手も交えて検討すると良いと思いますよ。

―皆で考えることが大切なのですね。

そうですね。早い会社では10年くらい前から取り組んでいますし、これから始める会社もどんどん増えていくと思います。社員が常に課題意識を持つような環境を作れば、生活の中で色々なことに向けて考えるようになりますよね。そうなれば、ESGについても日常的に自然と話すようになるのではないでしょうか。

生成AIがブランディング業界に与える影響とは

―ここからはもう一つ、話題の生成AIについて伺っていきたいと思います。

生成AIは、本当に素晴らしい技術ですよね。特に私が注目しているのは、人間の質問に対して返す答えが質問者の考えや知識レベルに合っているという点です。知識レベルの高い人が質問をすればハイレベルな回答が返ってきますし、簡単なことを知りたい人が質問すれば簡単な内容の会話になります。言い換えると、自分と同じ知識レベルの人間と会話をすることになるのです。自分のコピーと話しているような状態ですね。

―だから多くの人々に喜ばれ、活用されているのですね。生成AIの普及や進化によって、今後ブランディングを取り巻く環境はどのように変わっていくでしょうか。

人間がブランド戦略の策定に集中できるようになるでしょうね。生成AIにできることを任せてしまえば人間の時間が空くので、その分戦略に時間を割けるようになります。そして業界の中では、戦略を立てられる人、立てられない人が明確になるのではないかと思っています。

ロゴやデザインなどは、クオリティを無視すれば生成AIで簡単に作れるようになりました。しかし、戦略策定は今のところ人間にしかできませんよね。ですから今後は、しっかり戦略を立ててそれに基づいてブランディングをしていけるプロが際立つようになると思います。

―差が大きく広がっていくのですね。では、取り残されないためにはどうすれば良いでしょうか。

そうですね、「考える」ことが今まで以上に重要になっていくと思います。生成AIは、良い質問ができる人にとって有利ですよね。良い質問ができるということは、良い疑問を持てるということです。現時点の生成AIは疑問を持つところまではいっていないので、これはまだまだ人間の仕事なのです。

プロが際立つという意味では、Webサイトに関しても同じだと感じています。20年前はWebサイトを作るのにお金も時間もかかりましたが、今は誰でも簡単に作れます。ですので、それによって空いた時間や節約できたお金を他のことに使えるようになりました。これからのWebサイトでは、コンテンツそのものである写真や動画がより重要になると思います。

―写真や動画をどうすると良いのでしょうか。

商品を魅力的に紹介するためには、写真や動画が重要ですよね。今はスマートフォンのカメラやアプリが優れているため、誰でも良い写真を撮れるようになりました。しかし、誰もが綺麗な写真を撮れる時代だからこそ、それを超えるプロに依頼して潜在顧客に訴えかける写真や動画を作れば、商品の魅力がより鮮明になるのです。これが、プロが際立つということです。

―では、生成AIと共に進んでいくために、私たちはどう努力したら良いでしょうか。

「考える」ことを磨くことだと思います。例えば、本屋さんに行くのも一つの良い方法だと思いますよ。本というのは、古代からあり、いまだに続いている偉大な文化です。本屋さんは、歩いて表紙を見て回るだけでも色々なことを得られる場所です。認識していなかったけれど実は感じていた課題を示唆してくれたり、明示してくれたり。そこで色々な発見があるはずです。

そうして考える力をつけ、良い疑問を持てるようになることで、生成AIの進化と共に進んでいけるようになるのではないでしょうか。

グラビティーワン株式会社では、ブランディングについてのご相談を受け付けています。ブランド戦略の策定から、ブランドコンセプト作り、インナーブランディング、ロゴデザイン、パッケージデザインまで、15年にわたって一橋ICSで講義を務めた亀谷が貴社のブランディングをお手伝いします。まずはじっくりお話を伺いますので、ぜひお気軽にお問合せください