ブランディングに欠かせないファシリテーションの重要性

日本に戻ってからの亀谷の道程は、新たな挑戦の連続でもありました。
前回はそのひとつ、一橋ICSで生徒に教えるという挑戦をご紹介しましたが、そんな亀谷ヒストリーも今回がついに最終回となります。

最終回では、亀谷がどのような思いでグラビティーワンというブランディングの専門会社を立ち上げ、お客様のお手伝いをさせていただいているのかをお伝えできればと思います。

前回のお話はこちら:「日本での新たな挑戦。ブランディングとデザインを教えて教わる。」

グラビティーワンのパネル

それぞれの国の文化を理解した上でのデザイン

やはりそれぞれの国の文化をきちんと理解した上でデザインをしなければいけませんから、日本に来てからも結構大変でしたね。アメリカがやっと少し理解できて来たかなと思えるようになるまでも大変でしたけど、日本に関しても、僕にとっては再び一からやり直すみたいな感じでした。

ですから色々な人に怒られましたね。名刺の渡し方に始まり、漢字の読み書きなど。当時はヘンテコな読み方をしたり、ヘンテコ漢字を創作したりしていましたから。(笑)

日本人としてのリハビリのような期間があって、ある程度目処が立つまでに、やはり数年かかりました。その間、多くの出会いもありましたし、色々な人に色々なことを教えてもらいましたよ。日本のデザインの仕方とか、日本の文字の組み方とか。

ただ文字の組み方については、父の事務所によく遊びに行っていましたから、そこで得たものも間違いなくあったと思います。なので日本のデザインが全くできないという訳ではありませんでしたが、やはり独特な文化的な背景によって、細部に渡ってアメリカと違う部分があり、最初は苦労しましたね。

そもそも日本では文章が縦と言うところも違いますからね。雑誌などを見ていると、縦書きと横文字があんなに混在しているのに読みやすくてきれいで、どうしたらこんな風に組み合わせられるんだろう、と今でも思います。

日本の商習慣にきちんと寄り添えて提出するものは、徹底したクオリティ、品質のものでなければいけません。アメリカとはやり方も違うので、今だに創意工夫しながら高め続けていくという感じです。

仕事は日本以外でも行います。
ロンドンへ3カ月くらい行っていたことがあって、南ヨーロッパでのお仕事も結構お手伝いしました。スペインの大きな銀行とか。そこでATMの外観のデザインなどもしましたよ。

海外のATMって、本当に機械を壊してお金を盗もうとしたりするので、戦車みたいに「絶対壊れません!」みたいな物だったりするんです。でも僕はもう少し心豊かになるようなものでもいいんじゃないかなと思い、そんな風にデザインしたりもしていました。

日本に戻ってはきましたが、またどこかの国に行くのもいいなとも思っているんです。オーストラリアとか。ロンドン時代、スペインとかポルトガルのお仕事もしましたが、僕にはラテン系の食べ物や風土、雰囲気が合いましたね。マドリッドとか大好きでした。

寒さに弱いので、ヨーロッパはもういいかな。ロンドンやパリは寒かったし、ドイツやロシアに至っては、僕には無理だと思います。(笑)南ヨーロッパもいいですが、単純に自分があまり知らない暖かい土地がいいなぁということで、やはりオーストラリアですかね。

でも、やっぱり日本に居続けようと思います。大切なお客さまも仲間もいて、知らないことやチャレンジングなことがまだまだ沢山あってワクワクしっぱなしだからです。

僕にとって独立することは、ある意味自然なことでした。

日本で独立したのは、父を見ていたので、いずれはしなくてはいけないなと思っていたからなんです。彼も最初は社員で、独立して家族を養っていましたし、僕もデザイナーを目指した時点で、ごく自然に、いずれは独立しなければいけないなと思っていました。

フリーランサーではなくて、やはりある程度の組織でないと、自分がやろうとしていることはできないし、仲間が必要になるだろうなと思って。

それは多分、今後も変わらないと思います。

お客様から求めていただけることはありがたいことです。だからこそ常に「油断大敵」

油断せずにお仕事させていただく。毎日与えられたDuty(任務)があるわけですから、それをしっかり果たして行ったら、気づいたらもう何年か経っていたって言うことの方が多いかな。継続してくださる方が比較的多い気がします。とても有り難くて、深く感謝しています。

PCに向かう亀谷氏

あらゆる場面で発揮されるファシリテーションの必要性

クリエイティブディレクターとして、僕なりのやり方があります。一方で、世の中的に求められるものがあるということも分かっています。

そう言う時に、何を期待されているかと言うと、ある程度アーティスティックな面から、その会社なり商品なりを、こういう方向で進めるべきだみたいな、ちょっとカリスマ的なものを求めていらっしゃる会社さんも結構あるんです。

申し訳ないけれど、僕は神ではないし、全知全能と真逆の無知な人間です。でもだからこそ聞けるんです。教えてください。それはどういうことですか?って。

僕には、僕の勝手な思い込みとか個性で、あなた達は赤だとか、青だとか言えないんです。

「あなた達のお話を聞かせていただいた。それを明文化するとこう。形にするとこれ。だから青だと思う。」と言う話はできるけれど、いきなりあなた達は赤にすべきだとは決して言えない。

その人たちに合うものを探すと言うのが、僕のクリエイティブディレクションのやり方なんです。中にはそのやり方に戸惑うお客さんもいらっしゃいます。クリエイティブディレクター雇ったのに、こうすべきだみたいなことを言ってくれない。そう思われることはありますね。残念ながら、僕はそういう会社さんとは、あまり相性が良くないのではないかなと思います。

とにかく大切なのはビジネスを営んでいる方達が、何をしたいかなんです。もしそれが、何らかの理由で出来ないとか、やってみたけど失敗したとか、そういうことであれば、その理由を一緒に考え、持てる知識と経験からソリューションを導き出し、アドバイスすることはいくらでも可能です。

そして、背景にあるデザインやアートの話から、こういう理屈でそうなるのだという話をした上で、赤にするのか緑にするのかは、あなた達にしか決められないとお話します。

いわゆるファシリテーションです。組織の中で、認識の一致や相互理解に向けたサポートを行うことで暗黙知を抽出し、成果を生み出していくというものです。

ファシリテーションデザイナーというのは、アメリカでは私がいた当時から既に一般的でした。自分の理屈をこねるのではなく、話を聞くこと。ファシリテーションのスキル講座もアメリカでは充実していましたので、僕も受けさせてもらったり、自分でも受けに行っていましたね。そういうことが今のベースになっていると思います。

弊社のお客さんは、比較的ファシリテーションを求める方が多いように思います。押し付けるのではなくて、自分たちが一体どこに向かうべきなのか?誘導せずに、社内の議論を見える化して行く。それを結実したものでコンセプトにしていく。
最後の明文化は、私の方で引き取るようにしています。

そのようにして、お客様と向き合い、徹底的にお話を伺い、お客様自身の中にあるものを基にゆるぎないものを生み出していく。
そんなお手伝いをさせていただくのが、私たちの仕事です。

亀谷氏09

もし、このブログをお読みになって、少しでもご興味を持たれたなら、ぜひ一度お声掛けください。

じっくりとお話を聞かせてください。そして何が最適かを一緒に考えましょう。
貴社にとって最高の目的地へたどり着けるお手伝いをさせていただけたら、大変嬉しく思います。

次回のブログからは、弊社のサービスについて、少しずつご紹介して参ります。