カスタマーエクスペリエンス(CX)の最適化で売上を伸ばす|CXの意味・重要性と設計のポイント

カスタマーエクスペリエンス(CX)の最適化で売上を伸ばす|CXの意味・重要性と設計のポイント

優れた商品やサービスがあふれている今、顧客から選ばれるためには何をすれば良いのでしょうか。その答えの一つが、カスタマーエクスペリエンス(CX=顧客体験)の向上です。

カスタマーエクスペリエンス(CX)は、簡単にいうと、顧客の体験のことを指します。顧客に良い体験を提供することで、商品やブランドの価値向上、そして売上につなげることが可能になります。 皆さんも、自社ブランドのカスタマーエクスペリエンス(CX)向上に取り組んでみませんか。

この記事では、カスタマーエクスペリエンス(CX)の意味や基本的な考え方、ビジネスに生かす方法について具体的に解説します。

カスタマーエクスペリエンス(CX)とは

カスタマーエクスペリエンス(CX)とは、人々が商品を利用する際のすべての体験のことを指します。「商品を知る」「検討する」「購入する」「利用する」といったタッチポイント(接点)において、顧客が体験したことやその際に感じたことなどのすべてが、カスタマーエクスペリエンス(CX)です。

カスタマーエクスペリエンス(CX)向上が重要な理由

カスタマーエクスペリエンス(CX)の向上は、多くの企業が重視している課題です。顧客の体験がビジネスにおいて重要なのは、なぜなのでしょうか。3つのポイントにまとめて紹介します。

良い体験が売上につながるから

人は、感情が動いたときに行動するといわれています。

皆さんは、家電製品を買い替えた際に、「安い機種にするつもりだったのに、店頭で見て気に入ったためにワンランク上のものを購入してしまった」という経験をお持ちではないでしょうか。これは、店頭で見たり触ったりといった体験をした際に、「これが欲しい」という感情が動いた一つの事例です。

つまり、良い体験は売上に直結するため、ビジネスではカスタマーエクスペリエンスの向上がとても重要なのです。

良い体験がブランド価値を高めるから

事業を進めるうえで、ブランド価値を高めることはとても重要です。「このブランドの家電製品なら安心して使える」のようにブランド自体の価値が理解されれば、「このブランドで選ぼう」と考える顧客が増えていくためです。

世の中に優れた商品があふれている今、競合の中から顧客に選ばれるのは容易ではありません。しかし、「このブランドの商品は前回も壊れなかった」「このブランドはこういう点が使いやすい」といった価値が認められれば、ブランド力で選ばれるようになるでしょう。

こうした信頼がブランドの価値となり、数ある競合の中から選ばれる理由になります。それが結果的に、安定した売上や継続的な顧客獲得につながっていくのです。

ブランド価値を高める「カスタマーエクスペリエンス(CX)の設計」

売上を伸ばし、ビジネスを拡大するためには、カスタマーエクスペリエンス(CX)の向上が欠かせません。では、実際に向上させるには、企業は何をすべきなのでしょうか。

実は、カスタマーエクスペリエンス(CX)向上に成功している企業は、たまたま成功し、成果を上げているわけではありません。タッチポイント(顧客と商品との接点)における体験を意図的に設計し、継続的に運用しているからこそ、選ばれ続けているのです。

カスタマーエクスペリエンス(CX)の設計とは

成功している企業は、カスタマーエクスペリエンス(CX)を設計し、その設計に基づいて運用することで、ブランド力を高めています。

カスタマーエクスペリエンス(CX)の設計とは、「この商品に触れた人に、どのような感情を持ってもらいたいか」を明確にし、その感情が自然に生まれるように、製品開発やマーケティングの全体を整えることです。

一つ、例を挙げて考えてみましょう。

<例>高級ドライヤーの場合

持ってもらいたい感情 そのための機能
・早く乾くことで、自分の時間が確保できる。
・高級感のあるデザインを見るだけで気分が上がる。
・髪がツヤツヤになり、周囲から褒められることで、自信が持てる。
・風量が強く、短時間で髪が乾く。
・低温設定で髪が傷みにくく、イオンの効果でツヤが出る。


このように、感情(=どう感じてもらいたいか/情緒的価値)と、機能(=どのような価値を提供できるか/機能的価値)を明確に分けて整理することで、商品開発やデザイン、マーケティングの方向性がはっきりしてきます。

つまり、カスタマーエクスペリエンス(CX)の設計とは、感情(情緒的価値)から逆算して、商品やサービスのあり方を具体化することなのです。

カスタマーエクスペリエンス(CX)設計の具体的な方法

カスタマーエクスペリエンス(CX)を設計する際は、次の3つのステップで整理するのが有効です。

1. タッチポイント(顧客と商品との接点)を洗い出す

まずは、顧客がどのような場面で商品と接するかを洗い出してみましょう。たとえば、次のような場面が考えられます。

  • ● SNSやWebサイト、広告を見たとき
  • ● 店頭で体験したとき
  • ● 店頭で説明を受けたとき
  • ● 商品を開封したとき
  • ● 実際に使ってみたとき
  • ● カスタマーサポートに問い合わせたとき

カスタマーエクスペリエンス(CX)を正確に設計するために、すべての接点を書き出しておきましょう。

2. 各タッチポイントで持ってもらいたい感情を明確にする

次に、それぞれの場面において、顧客にどう感じてもらいたいかを具体的に決めていきます。 この作業は、一見簡単そうに思えるかもしれませんが、実は非常に重要なポイントです。ここで設定した内容は、商品の価値やブランド全体の印象に直結するため、ブランドコンセプトに合わせて正しく決める必要があります。

ここは、ブランド戦略の専門家を交えて検討するケースもあるほど、重要なステップです。

3. その感情を生むために必要な体験を決め、運用する

最後に、設定した感情が実際に生まれるよう、タッチポイントでの体験を設計していきます。ここでは、パッケージデザインや店頭の世界観はもちろん、スタッフの服装や言葉遣いなど、すべてのタッチポイントでの体験を決めることが重要です。

そして、運用していくなかで方向性が変わっていかないよう、定期的なチェックも大切です。

まとめ

この記事では、カスタマーエクスペリエンス(CX)の設計について解説しました。

  • ● カスタマーエクスペリエンス(CX)とは
  • ● カスタマーエクスペリエンス(CX)向上が重要な理由
  • ● ブランド価値を高める「カスタマーエクスペリエンス(CX)の設計」

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