ブランド・エクイティとは?その意味とブランド構築における注意点を解説

ブランド・エクイティとは?その意味とブランド構築における注意点を解説

ブランド・エクイティ(Brand Equity)とは、ブランドの資産価値のことをいいます。目に見えない存在であるブランドには、価値の判断が難しいという特徴があります。一方で、ブランドは企業の売り上げや価値を大きく左右する存在であるため、無形の資産として評価すべきだという考えが主流になってきました。その中で生まれたのが、ブランド・エクイティの概念です。

ブランディングに関わっている人なら、ブランド・エクイティという言葉を一度は聞いたことがあるかもしれません。そして、「調べてみたら意外と簡単なことだった」と感じられたかもしれませんが、もしそうなら注意が必要です。言葉の表面だけをとらえてしまうと、ブランディングが間違った方向に進んでしまう可能性があるからです。

そこで今回は、ブランド・エクイティの意味と、その解釈において気を付けたい点を紹介していきます。

ブランド・エクイティとは

ブランド・エクイティは、ブランドを無形資産ととらえた時の価値のことをいいます。無形資産とは、実態のないものでありながらお金を生み出している資産のことをいい、ブランド以外では、特許などの知的財産や技術、ノウハウなどがこれにあたります。

ブランド・エクイティという言葉は、もともとはブランドの価値を図るための概念に過ぎないものでした。しかし今はその評価方法としていくつかの算出方法が定着しており、近年はM&Aの際に企業の評価額に加えられるようになっています。

ブランド・エクイティの考え方や評価方法は複数ありますが、経営学者のデイヴィッド・アーカー氏が提唱した、ブランド・エクイティを5つの要素にわける考え方が広く知られています。

ブランド・エクイティの5つの要素

  •   ● ブランドの認知  
  •   ● ブランドイメージ  
  •   ● ブランドの価値  
  •   ● ブランドロイヤルティ  
  •   ● ブランドの持つその他の資産  

このそれぞれがどういう意味を持つのかを紐解いていくと、ブランドの価値とは何か、それを高めるためにはどうするべきなのかが見えてくるでしょう。

ブランド・エクイティが重視される理由

ブランドにとって理想の状態は、指名買いされることです。指名買いとは、たとえば車を買い替える時に、「車を買おう」ではなく「○○の車を買おう」とブランドを最初から決めて購入することをいいます。指名買いをしてもらえるということは、その顧客は他社製品と比較せずに指名するほどブランドに対して愛着を持っている、つまり、ブランドロイヤルティが非常に高いということになります。

では、顧客に指名買いされるようになるにはどうすれば良いかを考えていくと、まずはブランドの認知度を高め、人々に良いイメージを持ってもらえるようにする。そして、実際にブランドを利用することで価値を見出してもらい、ブランドロイヤルティを高めていくということになるでしょう。このように考えると、ブランド・エクイティというのはロイヤルティの高い顧客を増やしていくための要素のことを指しているだけであり、私たちが実践している活動の一つひとつを言語化したものであるということがわかります。

逆にいうと、多くの顧客に指名買いしてもらえるブランドになるためには、これら一つひとつを高める必要があるということになるでしょう。これが、ブランド・エクイティが重要視される理由です。

ブランド・エクイティ確立の注意点

ここからは、ブランド・エクイティの考え方や評価において勘違いしやすいポイントを3点紹介します。ブランディングにおいて重要なのは、関わる人全員が同じ方向を向いて進んでいくことです。根本に誤解があるとブランド戦略がずれてしまいかねないので、チーム全体で正しい理解を共有しておくことが重要です。

ブランドの認知の考え方

ブランドの認知というと、「ブランド名を知ってもらうこと」と解釈されるかもしれませんが、ただ単にブランド名を覚えてもらうだけでは十分ではありません。ブランド名だけを多くの人に知ってもらっても、購入には結びつかないからです。企業の売り上げに貢献するブランドを作り上げるためには、どのようなブランドなのか、どういった商品を扱っているのかということまでを多くの人に理解してもらうことが重要です。

ブランドイメージ(ポジショニング)

ブランドイメージというと、商品パッケージやロゴ、広告などが浮かぶかもしれません。それももちろん大切なのですが、見た目だけで確立したイメージには、容易に崩れやすいという難点があります。パッケージの雰囲気を変えてしまえば、ブランドイメージまで変わってしまうからです。

ブランドイメージを作っていくうえで大切なのは、自分たちのブランドが市場でどのような位置に立っているのか、立ちたいのか(=ポジショニング)を明確にし、ブランドの活動すべてに反映させることです。それによってパッケージなどの見た目はもちろんのこと、商品の内容、販売戦略、社員の行動など全てが同じ方向を向くため、活動を積み重ねることで強固なブランドイメージが構築されていくのです。

ブランド・エクイティの確立に成功しているとされている企業は皆、ポジショニングをしっかり行っています。時間と労力を使うかもしれませんが、容易に崩れないブランドイメージを作り上げるために、ぜひ取り組んでみてください。

ブランドの価値

ブランドが多くの人に指名買いされる強さを持つためには、人々にそのブランドの価値を認めてもらう必要があります。そしてその価値は、「安い」「お得」という価格に対する評価ではなく、そのブランドの品質そのものや社会的意義などの価値のことを指します。

安い商品を購入した人は、次回もその店を訪れるかもしれません。しかし、それはブランドの価値ではなく値段で比較した選び方なので、他社が安い製品を販売すればその人は離れてしまうでしょう。一方、ブランドの価値を認めて指名買いをする顧客が増えれば、他社と価格競争をすることなく売上を伸ばせるようになります。後者を目指すために、自社のどこに価値があるかを明確にし、その価値を顧客に理解してもらえるように活動していくことが重要です。

まとめ

この記事では、ブランド・エクイティについて解説しました。

  •   ● ブランド・エクイティとは
  •   ● ブランド・エクイティが重視される理由
  •   ● ブランド・エクイティ確立の注意点

ブランドの価値を高めることは、企業の売上を増やし、企業価値を高めることにつながります。ブランド・エクイティの5つの要素を正しく理解し、高めるための活動を実践することで、強いブランドを作り上げていきましょう。

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